米国株式市場ダウ2013ドル安、下げ幅過去最大 原油急落・新型コロナウイルス懸念で

米国株式市場は大幅安。原油相場の急落や新型コロナウイルス感染拡大を巡る懸念からリセッション(景気後退)懸念が台頭し、パニック売りを誘発した。ニューヨーク証券取引所で撮影(2020年 ロイター/BRYAN R SMITH)
米国株式市場は急落。原油相場の大幅な値下がりや新型コロナウイルス感染拡大を巡る懸念からリセッション(景気後退)懸念が台頭し、パニック売りに見舞われた。ダウ平均株価は2000ドル超急落し、過去最大の下げ幅を記録した。
主要株価指数は寄り付きから下げが拡大し、間もなく7%安を付けたところで緊急避難的な取引停止措置である「サーキットブレーカー」が発動、15分間の取引停止となった。同措置は株式相場が大暴落した1987年の「ブラックマンデー(暗黒の月曜日)」以降に導入された。その後はやや下げ渋る場面も見られたものの、取引終盤にかけて再び売りの勢いが増した。結局S&P総合500種指数は2月19日の最高値から約19%安でこの日の取引を終えた。
キーター・グループ(マサチューセッツ州)のマシュー・キーター氏は「歴史的な取引になったことは間違いない。市場は高い確率で景気後退を織り込みつつある」と指摘。またスパルタン・キャピタル・セキュリティーズ(ニューヨーク)の主任市場エコノミスト、ピーター・カルディリョ氏も「市場では恐怖感が高まっている。原油価格の下落が継続すれば世界経済はそれほど遠くない将来に景気後退入りする可能性がある」とした上で、相場がパニックモードに入ったことで、米連邦準備理事会(FRB)が救済に動く可能性もあると述べた。
株式投資家の不安心理の度合いを示すシカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティー・インデックス(VIX指数)は上昇し、金融危機に見舞われた2008年12月以来の高水準を付けた。こうした中、米国債利回りは一段と低下し、10年債利回りは0.318%と過去最低を更新した。
9日の原油先物相場は激しい売りに見舞われ、下げ幅は一時30%を超え1991年の湾岸戦争以降で最大を記録した。石油輸出国機構(OPEC)にロシアなど非加盟産油国を加えた「OPECプラス」の協調減産体制が崩壊する中、サウジアラビアとロシアによる石油価格戦争の勃発で原油安ショックが広がった。
関係筋によると、サウジは原油生産量を過去数カ月の日量970万バレルから同1000万バレル超に引き上げる方針。こうした中、ロシアも生産量を引き上げる可能性があり、6ー10年は原油安に耐え得ると表明した。
業種別ではエネルギー株や金融株の下げが目立った。個別銘柄ではアップルが7.9%安。中国でのiPhone出荷台数が2月は50万台を下回ったことが、中国信息通信研究院(CAICT)のデータから9日明らかになった。アップルは同月、新型ウイルス感染拡大を受け、中国本土にある店舗とオフィスを少なくとも2週間閉鎖した。
フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)は8.3%安と08年10月以来の大幅な下げを記録した。
ニューヨーク証券取引所では値下がり銘柄数が値上がり銘柄数を17.86対1の比率で上回った。ナスダックでは19.11対1で値下がり銘柄数が多かった。
米取引所の合算出来高は172億2000万株と、直近20営業日の平均110億5000万株を大幅に上回った。