最新記事

事件

ゴーン被告が逃亡後初会見 日産の西川前社長ら6人を名指しで批判

2020年1月9日(木)01時17分

保釈中に不正にレバノンへ逃れた日産自動車前会長のカルロス・ゴーン被告が8日、レバノンで記者会見し、自らの逮捕は検察と日産によって事前に仕組まれていたと主張した。写真は会見の臨むゴーン氏。1月8日、ベイルートで撮影(2020年 ロイター/Mohamed Azakir)

保釈中に不正にレバノンへ逃れたカルロス・ゴーン被告は8日、レバノンで記者会見し、自身を追放した人物として日産自動車の経営陣など6人を名指しで批判した。逮捕は検察と日産に仕組まれていたと主張し、自らの潔白をあらためて強調した。日本の政府関係者には具体的に言及しなかった。

同被告が記者会見するのは逮捕後初めて。西川広人前社長のほか、前副社長の川口均氏、前監査役の今津英敏氏、社外取締役の豊田正和氏を批判した。豊田氏については日本の当局とつながっていたとも語り、「検察と日産の共謀が見えていなかったのは日本国民だけだ」と指摘した。

自らの不正を内部告発した元秘書室長の大沼敏明氏、ハリ・ナダ専務執行役員の名前も挙げた。

このうちの1人はロイターに対し、「言うべきことがあるなら、日本を不正に出国する前に裁判で公に言うべきだ。証拠を示さない陰謀説は冗談のように聞こえる」と語った。

「逃亡は最も困難な決断」

ゴーン被告は、追放されたのは日産から親会社の仏ルノーの影響を排除するためだったとし、「仏政府が3社連合に介入しようとしたことへの日本の反感もその一因だった」と述べた。逮捕されたことを日本軍が米軍を奇襲した真珠湾攻撃になぞらえた。

予告していた日本政府関係者の名前については「レバノン政府のため」として控えたが、「トップレベルが関わっていたとは思っていない」と語った。

自身の容疑については「根拠がなく、検察は誤った情報をリークして証拠を隠した」として「一連の容疑は事実ではない」とこれまでの主張を繰り返した。その上で、数週間以内に無実の証拠を明らかにする考えを示した。

ゴーン被告は「弁護士の同席なしに1日8時間にわたって尋問を受けた」、日本の有罪率は99%に達する国で、「外国人はおそらくもっと高い」と日本の司法制度を強く批判した。「自白しないと家族を追いかけることになると言われた」という。

弁護士からは判決が出るまで5年間は日本にいることになるだろうと言われたとし、逃亡は「私の人生で最も困難な決断だった」と語った。日本からの出国方法は支援者が明らかになるとして答えなかった。

東京地検の次席検事は会見後にコメントを出し、「わが国の刑事司法制度を不当におとしめるものであって、到底受け入れられない」と反論。「被告人ゴーンにわが国で裁判を受けさせるべく、関係機関と連携して、できる限りの手段を講じる」とした。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

再送-米、ロ産石油輸入巡り対中関税課さず 欧州の行

ワールド

米中、TikTok巡り枠組み合意 首脳が19日の電

ワールド

イスラエルのガザ市攻撃「居住できなくする目的」、国

ワールド

米英、100億ドル超の経済協定発表へ トランプ氏訪
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェイン・ジョンソンの、あまりの「激やせぶり」にネット騒然
  • 3
    腹斜筋が「発火する」自重トレーニングとは?...硬く締まった体幹は「横」で決まる【レッグレイズ編】
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    ケージを掃除中の飼い主にジャーマンシェパードがま…
  • 6
    電車内で「ウクライナ難民の女性」が襲われた驚愕シ…
  • 7
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    「この歩き方はおかしい?」幼い娘の様子に違和感...…
  • 1
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 2
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 3
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 4
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 5
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 6
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 7
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 10
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中