最新記事

日本企業

巨額負債から回復するも高くついたゴーン流経営 日産に残された身勝手と不正のツケ

2019年3月21日(木)17時21分

変わる日産の経営手法

昨年11月19日のゴーン前会長逮捕の1週間後、日産の西川廣人最高経営責任者(CEO) は社員向け説明会で、1人の人物に過剰な権限が集中していたのは明白で、経営陣は十分に対応しなかった、と述べた。

「19年間、私を含む経営陣、この勝手を許し、不正を許してしまったということに対するこの後悔、皆さん同じだと思いますけれども、もう少し言うと、自分の力不足、無力感というものを実は感じております」。

西川CEOはこう語り、「私たちの最大かつ喫緊の課題は、ゴーン氏の長年のリーダーシップとコーポレートガバナンス(企業統治)によってもたらされた負の遺産を拭い去ることです」と続けた。

日産とその筆頭株主であるルノーは先週、ゴーン前会長に権限が集中していた旧体制と決別し、今後は新組織「アライアンス・オペレーティング・ボード」を通じ、ルノー、三菱自動車<7211.T>との3社トップによる合議制で戦略を策定すると発表した。ルノーのスナール会長は新組織の議長に就くが、日産の会長には就任しないと明言した。

日産の企業統治のあり方を議論している「ガバナンス改善特別委員会」(外部有識者で構成)は今月中に、役員人事や報酬に関する手続きを含め、企業統治の見直しに向けた提言を行う見通しだ。

こうした反省は、日産の経営手法の大きな変更にもつながっている。ゴーン流経営では、「コミットメント」と呼ばれる販売と収益性に関する野心的な目標を設定し、それを達成できない場合は経営陣が責任を問われる、という信賞必罰の考えが根底にあった。

西川CEOは社員に対し「(経営目標は)これができなかったら大変だぞということで、スレット(脅し)の形になっているように感じます。 従って、やはりそういう部分はより健全な形に変えていく必要があります」と語った。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ドイツ議会、540億ドル規模の企業減税可決 経済立

ワールド

ガザの援助拠点・支援隊列ルートで計798人殺害、国

ワールド

米中外相が対面で初会談、「建設的」とルビオ氏 解決

ビジネス

独VW、中国合弁工場閉鎖へ 生産すでに停止=独紙
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:大森元貴「言葉の力」
特集:大森元貴「言葉の力」
2025年7月15日号(7/ 8発売)

時代を映すアーティスト・大森元貴の「言葉の力」の源泉にロングインタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 2
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に...「曾祖母エリザベス女王の生き写し」
  • 3
    トランプ関税と財政の無茶ぶりに投資家もうんざり、「強いドルは終わった」
  • 4
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...AP…
  • 5
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「…
  • 6
    アメリカを「好きな国・嫌いな国」ランキング...日本…
  • 7
    アメリカの保守派はどうして温暖化理論を信じないの…
  • 8
    名古屋が中国からのフェンタニル密輸の中継拠点に?…
  • 9
    トランプはプーチンを見限った?――ウクライナに一転パ…
  • 10
    【クイズ】日本から密輸?...鎮痛剤「フェンタニル」…
  • 1
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...APB「乗っ取り」騒動、日本に欠けていたものは?
  • 4
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 5
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 6
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコ…
  • 7
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 8
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 9
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 10
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中