最新記事
事件

ファーウェイと対イラン制裁を結んだ点と線 米当局「潜航捜査」の舞台裏

2019年3月12日(火)18時00分
ロイター

米国の要請を受けたカナダ当局による昨年12月の突然の逮捕で、ファーウェイの孟晩舟副会長は、2大経済大国がぶつかる貿易戦争の中心的存在となった。写真はファーウェイのロゴと星条旗。2019年1月撮影(2019年 ロイター/Dado Ruvic)

米国の要請を受けたカナダ当局による昨年12月の突然の逮捕で、中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の孟晩舟(メン・ワンツォウ)副会長は、2大経済大国がぶつかる貿易戦争の中心的存在となった。

トランプ米大統領は当時、ロイターとのインタビューで、対中通商交渉の妥結に資するなら、この件に介入すると発言。2月にも同様の考えを示した。

ファーウェイの最高財務責任者(CFO)を兼務する孟副会長。彼女の弁護士は6日、カナダの裁判所に対し、トランプ氏のこの発言を根拠に、容疑には政治的な要素があるとの懸念を持っていると伝えた。

しかし、ファーウェイがイランに対する米制裁を回避した疑いに対する米当局の捜査は、トランプ氏の通商政策に起因するものではない。ロイターは10人にのぼる捜査関係者に話を聞き、関連書類を閲覧。米当局はトランプ氏が中国に激しい貿易戦争を仕掛けるはるか前から、ファーウェイの活動を詳細に調べていたことが明らかになった。

中国通信機器大手の中興通訊(ZTE)に対する数年がかりの捜査を経て、米当局は同業のファーウェイに注目するようになった。その捜査は、空港を通過するファーウェイ社員の電子機器から集めた情報によるところが大きかった。

転換点は、2017年8月だったと関係者2人は証言する。米大統領選へのロシア介入疑惑の捜査監督者として知られるローゼンスタイン司法副長官が、ファーウェイの銀行詐欺疑惑に対する捜査の指揮を、ブルックリンの連邦検察の手にゆだねたのだ。

15カ月後、これがカナダでの孟氏拘束につながることになった。

ファーウェイとZTEに対する捜査を加速させたのは、6年前のロイターのスクープ記事だった。記事は両社によるイラン制裁違反疑惑の詳細や、イランとの取引でフロント企業の役割を果たした疑いのあるスカイコム社とファーウェイの緊密な関係について報じた。

ファーウェイの広報担当者は今回、ロイターの問い合わせに対し、制裁違反の容疑を否定。それ以上はコメントしなかった。孟氏は無実を主張している。イランへ違法に機器を輸出したことを認めているZTEにもコメントを求めたが、同社は応じなかった。

米司法省の広報官は、「訴追にあたり、一切の政治的介入なく、証拠と法の支配に基づき」捜査をしているとコメントした。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

中国、米国産大豆追加購入の可能性低下も 関税違憲判

ビジネス

トランプ関税違憲判決、米エネ企業のコスト軽減 取引

ワールド

米USTR、新たな301条調査開始へ 主要国の大半

ワールド

トランプ氏、10%の代替関税に署名 最高裁の違憲判
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
2026年2月24日号(2/17発売)

帰還兵の暴力、ドローンの攻撃、止まらないインフレ。国民は疲弊しプーチンの足元も揺らぐ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より日本の「100%就職率」を選ぶ若者たち
  • 2
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く高齢期の「4つの覚悟」
  • 3
    海外(特に日本)移住したい中国人が増えている理由...「落葉帰根」派も「落地生根」派も
  • 4
    100万人が死傷、街には戦場帰りの元囚人兵...出口な…
  • 5
    ロシアに蔓延する「戦争疲れ」がプーチンの立場を揺…
  • 6
    「#ジェームズ・ボンドを忘れろ」――MI6初の女性長官…
  • 7
    少女買春に加え、国家機密の横流しまで...アンドルー…
  • 8
    中国政府に転んだ「反逆のアーティスト」艾未未の正体
  • 9
    「窓の外を見てください」パイロットも思わず呼びか…
  • 10
    ディープフェイクを超えた「AI汚染」の脅威──中国発…
  • 1
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より日本の「100%就職率」を選ぶ若者たち
  • 2
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発される中国のスパイ、今度はギリシャで御用
  • 3
    【銘柄】マイクロソフトの株価が暴落...「AI懸念」でソフトウェア株総崩れの中、投資マネーの新潮流は?
  • 4
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活…
  • 5
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 6
    なぜ「あと1レップ」が筋肉を壊すのか...「高速パワ…
  • 7
    海外(特に日本)移住したい中国人が増えている理由.…
  • 8
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 9
    「目のやり場に困る...」アカデミー会場を席巻したス…
  • 10
    オートミール中心の食事がメタボ解消の特効薬に
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 8
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中