最新記事

中国経済

中国版スポティファイ「テンセント・ミュージック」がIPOヘ 米上場で最大1300億円調達目指す

2018年12月4日(火)10時00分

12月3日、中国のインターネット大手、騰訊控股(テンセント・ホールディングス)傘下の音楽配信大手テンセント・ミュージック・エンターテインメントは3日、米国での新規株式公開(IPO)手続きを開始した。最大12億ドルの調達を目指す。写真は北京で開かれたコンベンションに出展した同社ブース。REUTERS

中国のインターネット大手、騰訊控股(テンセント・ホールディングス)傘下の音楽配信大手テンセント・ミュージック・エンターテインメントは3日、米国での新規株式公開(IPO)手続きを開始した。最大12億ドルの調達を目指す。

米証券取引委員会(SEC)に提出した申請書類によると、同社はニューヨーク証券取引所への上場を計画し、10億7000万─12億3000万ドルの調達を目指している。

同社は10月にIPOを実施する計画だったが、市場環境の悪化を受けて計画を延期していた。

トランプ米大統領と習近平・中国国家主席は今月1日に行った首脳会談で、追加関税を90日間見送り、貿易戦争を悪化させないことで合意。これを受けて米中両国間の貿易を巡る緊張が和らぐとの見方が広がり、3日のアジア株式市場は大幅に上昇した。

申請書類によると、テンセント・ミュージックは8200万米国預託証券(ADR)を1ADR当たり13─15ドルで公開する計画。オーバーアロットメントオプションを行使する場合は追加で1230万株を売却する可能性がある。

資金調達目標については、20億ドルとの見方がこれまでにあったが、同社はこの数字を確認していない。

事情に詳しい関係筋によると、テンセント・ミュージックが年内の上場にこだわるのは、新たな資金が早急に必要なためではなく、米中貿易摩擦が悪化することを懸念しているからだという。

調達額が実際に12億3000万ドルとなった場合、中国企業による今年の米国市場でのIPOとしては、3月の動画配信iQiyi(愛奇芸)による24億ドル、7月の電子商取引サイト運営のピン多多(ピンドォドォ)による16億ドルに次ぐ規模となる。

リフィニティブのデータによると、中国企業による今年の米国でのIPOによる調達額はこれまでのところ78億ドルと、2014年以来の規模に上っている。

テンセント・ミュージックは音楽配信アプリ「QQ音楽」、「酷狗」、「酷我」やカラオケアプリ「全民K歌(We Sing)」を手掛ける。月間アクティブユーザーは8億人を超える。

関係筋によると、同社が目指す企業価値は220億─250億ドルで、これは4月にニューヨークに上場したスウェーデンの音楽配信大手スポティファイに匹敵する規模。テンセント・ミュージックはスポティファイと資本関係がある。

テンセントの1─9月期の利益は前年同期比244%増の3億9400万ドルだった。関係筋によると、同社は4日に財務諸表を一般公開し、12日に上場する見通し。

[香港/ニューヨーク 3日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 非婚化する世界
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年6月17日号(6月10日発売)は「非婚化する世界」特集。非婚化と少子化の波がアメリカやヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米中貿易枠組み合意、軍事用レアアース問題が未解決=

ワールド

独仏英、イランに核開発巡る協議を提案 中東の緊張緩

ワールド

イスラエルとイランの応酬続く、トランプ氏「紛争終結

ワールド

英、中東に戦闘機を移動 地域の安全保障支援へ=スタ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 2
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 3
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生きる力」が生んだ「現代医学の奇跡」とは?
  • 4
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 5
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 6
    構想40年「コッポラの暴走」と話題沸騰...映画『メガ…
  • 7
    逃げて!背後に写り込む「捕食者の目」...可愛いウサ…
  • 8
    「結婚は人生の終着点」...欧米にも広がる非婚化の波…
  • 9
    4年間SNSをやめて気づいた「心を失う人」と「回復で…
  • 10
    メーガン妃の「下品なダンス」炎上で「王室イメージ…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 5
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 6
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 7
    ふわふわの「白カビ」に覆われたイチゴを食べても、…
  • 8
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 9
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 10
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中