最新記事

中国経済

景気減速のなか中国投資家が群がる不良債権市場

百戦錬磨の投資家が参加するセカンダリーマーケットが活性化の兆し

2015年9月25日(金)17時34分

9月25日、中国経済が低迷するなか債務不履行に陥る借り手が増え、銀行の不良債権が急増、それと歩調を合わせ中国不良債権の流通市場が活況を呈している。北京で24日撮影(2015年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

[上海 25日 ロイター] - 中国経済が25年ぶりの低成長に落ち込むなか、デフォルト(債務不履行)に陥る借り手が増え、銀行の不良債権(NPL)が急増している。それと歩調を合わせるように最近、活況を呈しているのが、中国不良債権のセカンダリーマーケット(流通市場)であり、百戦錬磨の投資家がこの市場に群がっている。

こうした投資家の素性は、地元の運用会社や信託会社、外国人、規制当局の出身者など実にさまざまだ。

不良債権の流通市場が発展すれば、銀行のバランシシートがきれいになり、経済的に有益な融資に資金を回すことができるため、中国政府の意向にもかなう。また、ハイリスク・ハイリターンの資産を多様な投資家に分散させることで、大手銀行にとってリスクの低減につながる。

香港に拠点を置くフィッチの銀行アナリスト、グレース・ウー氏は「リスクを外国人など幅広い投資家に分散させることができれば、中国の金融システムからリスクを遠ざけることが可能」と話す。

ただし、投資家にも相応の覚悟が必要になる。中国はそもそも透明性が低く、ローンの担保に問題があることも少なくはないからだ。

中国のディストレス債権の投資家は、不良債権の処理機関として政府が設立した資産管理会社(AMC)から大幅なディスカウントでローンを買い入れる。その上で、ローンの担保を高値で売却したり、破綻した借り手を立ち直らせて債権を回収するなどして、利益を稼いでいる。

PwCの香港のシニアパートナー、テッド・オズボーン氏は「不良債権比率を引き下げるよう、銀行は規制当局から圧力を受けている」と指摘。「資産管理会社などに引き渡される融資は増えている」という。

中国の銀行規制当局によると、同国の商業銀行の不良債権は2015年上半期、1兆8000億元(約2800億ドル)に増加。15四半期連続の増加を記録した。スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)で金融機関の格付けを担当するシニアディレクター、リャオ・チャン氏によると、銀行の不良債権は下半期に倍増する可能性があるという。

4大不良債権処理機関(信達、華融、長城、東方)、そしてリスクを進んでとろうとする投資家は、ビジネスの機会に事欠かないだろう。

外国人投資家も注目

中国の4大国有銀行から不良債権を買い取る目的で1999年に設立された資産管理会社は、これまでに4兆元以上の不良債権を引き受けてきた。資産管理会社は債権をディスカウントで買い取り、借り手から返済を受けるか、または債権を転売することによって利益を得る。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アンソロピック、AI軍事利用の制限緩和しない意向=

ワールド

米国務省、ロシア攻撃で米の利益損なわないよう警告 

ビジネス

ワーナー、パラマウントと交渉へ 1株31ドルの新提

ビジネス

FRB当局者2人、当面の金利据え置き示唆 現行策「
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
2026年3月 3日号(2/25発売)

フィンテックの進化と普及で、金融はもっと高速に、もっとカジュアルに

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医師がすすめる意外な健康習慣
  • 2
    米国の中国依存が低下、台湾からの輸入が上回る
  • 3
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く高齢期の「4つの覚悟」
  • 4
    3頭のクマがスキー客を猛追...ゲレンデで撮影された…
  • 5
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体に…
  • 6
    カビが植物に感染するメカニズムに新発見、硬い表面…
  • 7
    「IKEAも動いた...」ネグレクトされた子猿パンチと「…
  • 8
    「極めて危険」──ゼレンスキー、ロシアにおける北朝…
  • 9
    IMF、日本政府に消費減税を避けるよう要請...「財政…
  • 10
    武士はロマンで戦ったわけではない...命を懸けた「損…
  • 1
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より日本の「100%就職率」を選ぶ若者たち
  • 2
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医師がすすめる意外な健康習慣
  • 3
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く高齢期の「4つの覚悟」
  • 4
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体に…
  • 5
    「#ジェームズ・ボンドを忘れろ」――MI6初の女性長官…
  • 6
    カビが植物に感染するメカニズムに新発見、硬い表面…
  • 7
    海外(特に日本)移住したい中国人が増えている理由.…
  • 8
    100万人が死傷、街には戦場帰りの元囚人兵...出口な…
  • 9
    ロシアに蔓延する「戦争疲れ」がプーチンの立場を揺…
  • 10
    米国の中国依存が低下、台湾からの輸入が上回る
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 5
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 6
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 7
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中