最新記事

中国経済

景気減速のなか中国投資家が群がる不良債権市場

2015年9月25日(金)17時34分

華融は、買い取った不良債権の転売志向を強めている。転売は利幅こそ低いが、特に複雑な債権については回収より手っ取り早い方法だ。

華融は14年、保有する不良債権のうちの14.5%を売却。これは2年前の倍であり、セカンダリーマーケットの活況を裏づけている。

さらに、プライマリー市場も成長しており、中国政府は過去2年間に、浙江や広東などの地方で10社の資産管理会社を設立した。

不良債権ビジネスに目をつけたのが、シャドーバンキングでも暗躍する信託会社だ。関係筋によると、資産規模で中国第2位の信託会社であるゾンロン国際トラストは、不良債権を買い取って、資産担保証券(ABS)に組成すべく、ディストレス債権部門を立ち上げるという。

また、規制当局の出身者も参入している。例えば、浙江省のある銀行担当高官は、不良債権を買い取る小規模な資産管理会社を設立した。

さらに海外の投資銀行やプライベートエクイティも参入機会を探っている。ゴールドマン・サックス・グループや、オークツリー・キャピタル・マネジメントは、信達が5月に開いたイベントに参加している。

S&Pのリャオ・チャン氏は「市場自体が急成長しているため、外国人投資家の関与は今後、一段と拡大するだろう」と語った。

(Engen Tham記者 翻訳:吉川彩 編集:田中志保)

120x28 Reuters.gif

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

EVポールスター、ナスダックが上場廃止の可能性を警

ワールド

仏当局、ニューカレドニア暴動はアゼルバイジャンが扇

ワールド

頼清徳氏、台湾新総統に就任 中国に威嚇中止を要求

ワールド

ロシア第1四半期5.4%成長、ウクライナ侵攻で軍需
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「隣のあの子」が「未来の王妃」へ...キャサリン妃の「ロイヤル大変貌」が話題に

  • 2

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 3

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイジェリアの少年」...経験した偏見と苦難、そして現在の夢

  • 4

    米誌映画担当、今年一番気に入った映画のシーンは『…

  • 5

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 6

    「裸に安全ピンだけ」の衝撃...マイリー・サイラスの…

  • 7

    「まるでロイヤルツアー」...メーガン妃とヘンリー王…

  • 8

    「すごく恥ずかしい...」オリヴィア・ロドリゴ、ライ…

  • 9

    中国の文化人・エリート層が「自由と文化」を求め日…

  • 10

    日本とはどこが違う? 韓国ドラマのオリジナルサウン…

  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 3

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 6

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 9

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイ…

  • 10

    「隣のあの子」が「未来の王妃」へ...キャサリン妃の…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中