最新記事

事故

天津爆発事故の影響長期化で、トヨタ、三菱など荷揚港を振替へ

危険化学物質流出の懸念から立ち入りが規制され、被害状況の把握もできない状態

2015年8月19日(水)16時10分

8月18日、中国・天津港付近で発生した化学物質倉庫の爆発事故を受けて、トヨタ自動車や富士重工業が輸出車の荷揚げに利用していた同港の代替経路の検討に入った。17日撮影(2015年 ロイター/Kim Kyung Hoon)

[東京 18日 ロイター] - 中国・天津港付近で12日深夜に発生した化学物質倉庫の爆発事故を受けて、トヨタ自動車<7203.T>や富士重工業<7270.T>が輸出車の荷揚げに利用していた同港の代替経路の検討に入った。港湾機能は再開されたが、完全な正常化にはしばらく時間がかかりそうで影響が長期化するとみているため。三菱自動車<7211.T>は上海や大連の港に振り替える方針を決めた。

富士重にとって、天津港は2014年度に中国向けに輸出した約5万1000台のうち4割超を取り扱った最大の拠点。同社は通常、上海や広州の港も利用しているが、これらを含めて天津港から他の港への振り替えが可能かどうかなどを検討中だ。

爆発現場から約2キロ離れた一時保管場所では、日本からの輸出車百数十台に被害が及んだが、危険化学物質流出の懸念から現場周辺は立ち入りが規制されており、今なお詳細な被害状況がわかっていない。

トヨタにとっても、天津港は広州、上海など他の港と同様、重要な荷揚げ拠点の一つ。同社の中国向け輸出は14年実績で約10万3000台あり、天津港を代替する輸送方法の検討が必要になっている。

爆発現場から2キロほどしか離れていない同社の現地合弁会社「天津一汽トヨタ」の泰達工場では窓ガラスが割れるなどの被害が出た。立ち入り規制により19日までの現地の生産中止を決めたが、20日以降も操業を停止する可能性がある。正確な被害状況や台数などはまだ確認中だが、周辺に保管していた車両にも被害は及んでいるもようだ。

三菱自は24日からスポーツ用多目的車(SUV)「アウトランダー」の新車発売を控えており、天津港から輸送される地域にある販売店には上海や大連の港に陸揚げされた新車を回すことにした。また、今後も上海や大連に振り替え輸送を実施する方針だ。現場に近づけないため被害状況の把握がまだできていないが、同社も事故現場から約1キロほどの場所に保管中の約600台が被害を受けたもようだ。

(白木真紀)

120x28 Reuters.gif

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

仏首相、年金改革を27年まで停止 不信任案回避へ左

ビジネス

米ウェルズ・ファーゴ、中期目標引き上げ 7─9月期

ビジネス

FRB、年内あと2回の利下げの見通し=ボウマン副議

ビジネス

JPモルガン、四半期利益が予想上回る 金利収入見通
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本人と参政党
特集:日本人と参政党
2025年10月21日号(10/15発売)

怒れる日本が生んだ「日本人ファースト」と参政党現象。その源泉にルポと神谷代表インタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道されない、被害の状況と実態
  • 2
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 3
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ海で「中国J-16」 vs 「ステルス機」
  • 4
    【クイズ】アメリカで最も「死亡者」が多く、「給与…
  • 5
    「中国に待ち伏せされた!」レアアース規制にトラン…
  • 6
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 7
    あなたの言葉遣い、「AI語」になっていませんか?...…
  • 8
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 9
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 10
    イーロン・マスク、新構想「Macrohard」でマイクロソ…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな飼い主との「イケイケなダンス」姿に涙と感動の声
  • 3
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 4
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 5
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由…
  • 6
    ベゾス妻 vs C・ロナウド婚約者、バチバチ「指輪対決…
  • 7
    時代に逆行するトランプのエネルギー政策が、アメリ…
  • 8
    ウクライナの英雄、ロシアの難敵──アゾフ旅団はなぜ…
  • 9
    「中国のビットコイン女王」が英国で有罪...押収され…
  • 10
    あなたは何型に当てはまる?「5つの睡眠タイプ」で記…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 3
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 4
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 5
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中