最新記事

欧州債務危機

ユーロ圏が頼れる国はニッポン!

IMFからの支援要請に日本が先陣を切って資金協力を表明。アメリカはスルーなのに

2012年4月20日(金)16時47分
ミーナ・シルベンガダム

次の震源 からくも国債の入札を切りぬけたスペイン、マドリッドの証券取引所(4月19日) Susana Vera-Reuters

 世界各国の窮地を救ってきた国際通貨基金(IMF)が「借金」を必要とする時、頼れるのはどの国だろう? 答えは日本とスウェーデンとデンマーク。どうやらアメリカは頼りにならないようだ。

 IMFは、ユーロ危機による世界経済の悪化に備えて資金基盤の強化を進めている。4月19日に開幕した20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議に先立ち、日本は17日、ヨーロッパ以外の国では初めてIMFへ600億ドルを拠出すると表明した。

 日本が先陣を切って追加支援に乗り出すことについて、安住淳・財務相は「日本が貢献を表明をすることで相当数の国がそれぞれに拠出を表明してくれるのは間違いない」と期待をにじませた。「IMFの基盤強化は重要なことだ。確実に危機の収束につなげていくため、(IMFへの拠出は)ユーロ圏のみならずアジア各国、そして我が国にとっても重要だと考えている」

 日本と並んでスウェーデンとデンマークも合わせて170億ドルを新たに拠出する考えを表明。これを受けて、ポーランドやスイスなど支援に踏み切る国が相次いでいる。

経済危機に瀕した国々を救う最後の砦として機能してきたIMFは今年1月、ユーロ危機のあおりを受ける国々への貸付に回す財源などとして総額6000億ドルが必要と表明した(IMFを率いるクリスティーヌ・ラガルド専務理事はそれ以下の金額でも対応は可能としている)。

 ユーロ圏諸国はすでに2000億ドルの拠出を表明しており、イギリスなどユーロ圏外の欧州連合(EU)諸国にも拠出を働きかけている。

 一方、IMF最大の出資国であるアメリカは協力を見送る構えだ。ただし安住・財務相は日本とアメリカは事務レベルで連日、この問題について電話で協議していると語っている。

GlobalPost.com特約

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:サウジ皇太子擁護のトランプ氏、米の伝統的

ビジネス

午前のドルはドル157円前半でもみ合い、財務相の円

ワールド

対米投資、為替に影響ないよう「うまくやっていく」=

ビジネス

米クリーブランド連銀総裁、「やや制約的な政策を続け
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判殺到、そもそも「実写化が早すぎる」との声も
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ成長株へ転生できたのか
  • 4
    ロシアはすでに戦争準備段階――ポーランド軍トップが…
  • 5
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 6
    アメリカの雇用低迷と景気の関係が変化した可能性
  • 7
    幻の古代都市「7つの峡谷の町」...草原の遺跡から見…
  • 8
    【クイズ】中国からの融資を「最も多く」受けている…
  • 9
    中国の新空母「福建」の力は如何ほどか? 空母3隻体…
  • 10
    EUがロシアの凍結資産を使わない理由――ウクライナ勝…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 7
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 8
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中