最新記事

政治献金

政界工作に乗り出したフェースブック

政治献金を行うための政治活動委員会を設立し、ワシントンのインサイダーを社内に迎え入れる思惑は

2011年9月27日(火)17時44分

攻撃は最大の防御 プライバシー規制から身を守るためロビー活動を本格化させるザッカーバーグCEO(9月22日) Robert Galbraith-Reuters

 フェースブックは9月26日、社内に政治行動委員会(PAC)を立ち上げる法的手続きをスタートさせたと発表した。PACは、企業が政治献金をするために設立組織だ。

「経済におけるイノベーションの価値を推進し、よりオープンで互いにつながった世界をつくる力を人々に与えることが、わが社の目標だ。フェースブック政治行動委員会(FB PAC)は、この理念を共有してくれる候補者を支援することで政治プロセスに自身の声を届ける手段を、社員に提供する」と、フェースブックの広報担当者は語った。

 ワシントンの政治ニュース紙ザ・ヒルによれば、フェースブックが「FBPAC.org」と「FBPAC.us」というドメインネームを取得したことは以前から指摘されていた。これまで同社が特定の候補者を支持したことはなかったが、ワシントンでのロビー活動の存在感はこの数年高まり続けている。

 ロサンゼルス・タイムズ紙によれば、フェースブックの急成長に伴って「ネット上の厳格なプライバシー規制といった政策から自社を守る必要性」が浮上。FB PACの設立は、同社の政治的進化の新たなステップだという。フェースブックは今年上半期だけで、連邦政府関係者へのロビー活動に55万ドルを投じている(09年は年間で20万ドル強)。


 企業が候補者に直接カネを渡すことは法的に認められていないが、社員の自発的な寄付で設立された政治活動委員会をもつ企業は多い。

 寄付が集まると、政治活動委員会は候補者に献金を行う。関係業界に関する法律を扱う議会委員会のメンバーである民主党と共和党の複数の議員に献金してリスクを分散させるケースもある。


 昨年の場合、フェースブックの社員には圧倒的に民主党支持者が多かった。社員の寄付総額5万470ドルの8割が、民主党議員に向けたものだった。

 アド・ウィーク誌によれば、フェースブックは最近、ワシントンのインサイダー数人を幹部役員として迎え入れている。今月には、クリントン政権で首席補佐官を務めたアースキン・ボウルズを取締役に任命。6月にもクリントン大統領の報道官だったジョー・ロックハートを、グローバルコミュニケーション部門の責任者に抜擢した。

GlobalPost.com特約

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国、今後5年間で財政政策を強化=新華社

ワールド

インド・カシミール地方の警察署で爆発、9人死亡・2

ワールド

トランプ大統領、来週にもBBCを提訴 恣意的編集巡

ビジネス

訂正-カンザスシティー連銀総裁、12月FOMCでも
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 2
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃度を増やす「6つのルール」とは?
  • 3
    ヒトの脳に似た構造を持つ「全身が脳」の海洋生物...その正体は身近な「あの生き物」
  • 4
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 5
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 6
    「不衛生すぎる」...「ありえない服装」でスタバ休憩…
  • 7
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 8
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 9
    「腫れ上がっている」「静脈が浮き...」 プーチンの…
  • 10
    『トイ・ストーリー4』は「無かったコト」に?...新…
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 3
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前に、男性が取った「まさかの行動」にSNS爆笑
  • 4
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 5
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 8
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 9
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 10
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中