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話題作が読めないキンドルのジレンマ

2009年12月22日(火)15時36分
ダニエル・グロス

 私の知る限りでは、アマゾンが出版社に払う本の仕入れ価格はキンドル版であっても旧来型の本であっても同じで、本の定価の50%。例えばハードカバーの定価が26ドルの本の場合、アマゾンは13ドルで仕入れ、キンドル向けに9.99ドルで売る。つまり1冊当たり3ドルの損をする計算だ(アマゾンはキンドルの市場占有率が上がったところで、電子版の仕入れ価格を下げる交渉を始めるのではないかと出版業界は懸念している)。

 だが短期的には、高い本をキンドル向けに売れば売るほど、アマゾンは損をする。ケネディ本しかり、ペイリン本しかりだ。つまりキンドルが売れた時点で、その持ち主に高価な本の電子版を売る動機はなくなってしまう。今後、電子版の本の価格を相当に引き上げる意図がなければの話だが。

 というわけでキンドルのユーザーを除くすべての当事者にとって、ケネディとペイリンの回顧録の電子版は当面出さないほうが利益になる。出版社は自分たちの価格設定の仕組みを維持できるし、書店にとっては購買意欲にあふれた消費者が店を訪れるきっかけになる。そしてアマゾンも、ハードカバー版をたくさん売ることで大きな利益を手にしているからだ。

[2009年11月18日号掲載]

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