最新記事

7つのコツで語彙力アップ

英会話の科学

語彙力アップのコツ、英語キッズの育て方
メールと電話のビジネス英語、ほか

2009.07.30

ニューストピックス

7つのコツで語彙力アップ

記憶のメカニズムにのっとった「使える単語」の効率的な覚え方

2009年7月30日(木)14時54分
井口景子(東京)、カレン・スプリンゲン(シカゴ)

 ひたすら暗記するしかない。どれだけやっても終わりがない。語彙の学習には、単調で非生産的なイメージがつきまとう。

 「語彙は『付属品』にすぎないと思われている」と、『語彙神話』の著者でセントラルフロリダ大学のキース・フォルス助教授は言う。「文法や発音が大切なのはもちろんだが、単語を知らなければ何もできない」

 英語をある程度自由に使いこなすには、少なくとも3000ワードファミリーが必要とされる(「give」「giving」「gift」などは一つのワードファミリーとして数えられる)。

 英語圏に住み、会話や読書を通してボキャブラリーを自然に増やせれば理想的。だが日本のような環境では、単語帳などを使った意図的な学習と組み合わせるほうが効率がいいことが、多くの研究で明らかになっている。記憶のメカニズムに合った語彙学習のコツを紹介しよう。

6回以上繰り返す

 学んだ単語を記憶に定着させるには、さまざまな場面で同じ語に繰り返し出合う仕掛けが必要。覚えたい単語が文中に登場する回数と学習成果の関係を調べた研究によると、単語の登場回数が2回と4回では学習成果に大差はなかったが、6回以上では明らかな効果が見られた。

 学習時間の配分にもコツがある。ある実験では、一度に15分間集中して覚えるより、数日に分けて計15分を費やすほうが記憶の定着率は高かった。また、学習の時間間隔は徐々に長くしていくといいという。

単語帳は使い方次第

 丸暗記の代名詞として「悪者」にされがちな単語帳。だが専門家は「退屈にはちがいないが、効率よく語彙を増やすには欠かせない」と口をそろえる。

 ただし、電車の中で単語帳を眺めるだけでは効率が悪すぎる。スペルを何度も書く、アクセントに合わせてこぶしを振る、例文を作るなど「かかわり度」を高める工夫をすべきと、関西学院大学の門田修平教授は言う。語呂合わせを考えたり、語源や接辞を手がかりに単語を分析する伝統的な方法も効果的だ。

 訳語を知っているだけの単語を「会話で使えるボキャブラリー」に格上げする工夫も大切。覚えたい単語を積極的に使ってみるのはもちろんだが、目的語をいくつ取るのか、どんな語や句とセットになりやすいのかなど「単語の使われ方」を常に意識すべきだと、門田は言う。

 スペルだけでなく発音で覚えることもポイント。音声化されていない知識は会話で使えないだけでなく、長文読解でもスムーズな理解を妨げる。
 

時間制限で使える語彙に

 「使える語彙」を増やして流暢さを高めるためには、時間のプレッシャーによって知識を活性化する方法もいい。語彙習得研究の第一人者であるビクトリア大学ウェリントン校のポール・ネーション教授が勧めるのは、4・3・2という方法。まず1人が4分間で何か話し、聞き手は同じ内容を3分間で次の人に伝える。次の人はそれを2分間で説明する。

 作文で使える単語を増やすためにも時間制限は役立つ。毎日10分間英作文の時間をもち、何ワード書けたか記録するといいと、ネーションは言う。大量に書くことがねらいなので、作文の内容にはこだわらなくていい。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

BBC、恣意的編集巡りトランプ氏に謝罪 名誉毀損は

ビジネス

ベゾス氏の宇宙企業、大型ロケットの2回目打ち上げに

ビジネス

英首相と財務相、所得税率引き上げを断念=FT

ワールド

COP30、慈善団体が気候変動健康影響研究に3億ド
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 3
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前に、男性が取った「まさかの行動」にSNS爆笑
  • 4
    「水爆弾」の恐怖...規模は「三峡ダムの3倍」、中国…
  • 5
    文化の「魔改造」が得意な日本人は、外国人問題を乗…
  • 6
    中国が進める「巨大ダム計画」の矛盾...グリーンでも…
  • 7
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 8
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 9
    ファン激怒...『スター・ウォーズ』人気キャラの続編…
  • 10
    「ゴミみたいな感触...」タイタニック博物館で「ある…
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 5
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 8
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 9
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 10
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中