コラム

香港デモが天安門の再現には「ならない」4つの理由

2014年10月01日(水)15時35分

 事実上このデモ隊と対決している中国政府にしても、習近平や李克強首相といった人々は、もしかしたら現時点では判断を迷っているかもしれませんが、取りうる選択肢は限られていますし、そのことを分かっているのではないかと思うのです。

 私は中国、香港問題には素人ですが、一つの落とし所としては「政治的な妥協」が成立する可能性を指摘しておきたいと思います。現在の香港政府は、民衆と中国政府の板挟みになって機能不全に陥っている感がありますが、この膠着状態を打開するためには、デモ隊と北京の双方が「大人の妥協」をしなくてはなりません。

 例えばジョシュア・ウォン氏の映像を見ていて思うのですが、この17歳はもしかしたら「譲歩することの政治的勝利」ということも分かっているかもしれない、ふとそんな気がするのです。

 香港の命運は台湾の命運にも重なり、同時に中国本土全体がより開かれた社会へとソフトランディングができるかどうかの試金石でもあります。大変に重要な局面であると同時に、双方ともに軽挙は許されない状況だとも言えます。89年の天安門事件のような破滅的な結末に至る可能性は、私は非常に少ないと見ています。

プロフィール

冷泉彰彦

(れいぜい あきひこ)ニュージャージー州在住。作家・ジャーナリスト。プリンストン日本語学校高等部主任。1959年東京生まれ。東京大学文学部卒業。コロンビア大学大学院修士(日本語教授法)。福武書店(現ベネッセコーポレーション)勤務を経て93年に渡米。

最新刊『自動運転「戦場」ルポ ウーバー、グーグル、日本勢――クルマの近未来』(朝日新書)が7月13日に発売。近著に『アイビーリーグの入り方 アメリカ大学入試の知られざる実態と名門大学の合格基準』(CCCメディアハウス)など。メールマガジンJMM(村上龍編集長)で「FROM911、USAレポート」(www.jmm.co.jp/)を連載中。週刊メルマガ(有料)「冷泉彰彦のプリンストン通信」配信中。

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