プレスリリース

《特別インタビュー》AIと日本語教育を融合し、「定着支援」を具現化するー余銅基氏が語る「KABETORI」と外国人就労者の未来【後編】

2025年08月25日(月)09時15分
株式会社アップカル(所在地:福井県敦賀市)は、KABETORIの開発に深く関わる余銅基氏にインタビューを実施しその原点から開発へのこだわりまで、幅広くお話を伺いました。
前編ではKABETORI誕生の背景と、余氏が日本語教育とソフトウェア開発を掛け合わせるに至ったキャリアの軌跡をたどりました。後編となる本記事では、アプリに込めた設計思想をさらに掘り下げ、翻訳を超えて現場の課題を可視化する仕組みと、データ活用が切り拓く"定着支援"の未来像に焦点を当てます。


■1. なぜ"翻訳"にこだわるのかー真の目的は課題発見と生産性向上
KABETORIは一見すると多言語翻訳ツールのようですが、本質は現場の摩擦を減らし、生産性を上げるコミュニケーション基盤をつくることにあります。
たとえばベトナム人スタッフが十分なクオリティの業務を行えていないとして、原因究明が必要です。しかし「日本語での指示が理解できていないのか」「母語/英語での指示なら理解できるのか」「業務フローが理解できていないのか」など様々な原因が考えられ、どれが原因なのかを探るのにも、コミュニケーションが不可欠です。

画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/489271/LL_img_489271_1.png
KABETORI画面(AIが日本語の日報形式へリライト)

KABETORIでは母語で入力するだけでAIが日本語の日報形式へリライト。原文・直訳・リライト文を同時保存するため、意思疎通と記録作成が一度で完了します。翻訳はゴールではなく、対話を可視化し課題を抽出するための入口―これが開発思想の出発点です。


■2. 三層保存がもたらす"本音"の可視化
アプリには以下3つのデータが蓄積されていきます。
1. 母語の原文

2. 機械的な直訳

3. 丁寧な日本語に書き換えた日報文

週次・月次のダッシュボードでは、母語表現に潜むストレス語やネガティブ形容詞などから、モチベーション課題をAIが自動抽出します。それだけではなく、業務理解やコミュニケーションなどの業務効率化における課題も分析し、組織課題をデータ化します。

画像2: https://www.atpress.ne.jp/releases/489271/LL_img_489271_2.gif
週次・月次のダッシュボード例

■3. 文化の壁を乗り越えるAIリライト
従来型の機械翻訳は単語を置き換えるだけでしたが、KABETORIのAIは文脈と職場文化を踏まえて"書き換える"ことに重きを置きます。
例えば、小学校で日記を書かせると、子どもたちは頭の中に「算数いやだ」「もっと遊びたい」など具体的なモヤモヤを抱えているのに、語彙や作文力が足りず「つまらなかったです」程度しか書けないことがありますよね。KABETORIのAIリライトは、まさにその"書けない"部分を埋める担任の先生のような存在です。
《頭の中の感情(思っているけど書けない)を職場がすぐに動ける課題の形に変換する》
この"橋渡し"こそがAI翻訳の真価。言語能力に依存せず、本質的な課題だけを抽出して共有できるため、管理者は即座にアクションを起こし、生産性向上や問題解決につなげられるのです。


■4. 翻訳精度より"誤解を残さない"設計
誤訳リスクをゼロにできない前提で、KABETORIは
● 三層表示による相互チェック

● 改ざん不可のログ保存

● クリック式4段階評価で書き漏れ防止

という安全網を用意しました。万一翻訳に揺らぎがあっても原文と直訳が残るため、原因を遡りやすく現場の信頼を守れる仕組みです。


■5. データ基盤一元化が拓く次のステージ
日報データは同社サービス<MICHISUJI>へリアルタイム連携。CSV連携や二重入力とは無縁で、"SaaS疲れ"を起こさないエコシステムを実現しています。
余氏はこの統合基盤を活かし、現場言語×AIで自動生成するビジネス日本語教材を構想中。日報に現れた表現をAIが抽出し、「次回はこのフレーズを使ってみよう」と教える―自律学習サイクルが動き始めています。


■6. 教育視点で描く"定着支援"のゴール
コミュニケーション改善は手段であり、究極の目的は外国人就労者が安心してキャリアを伸ばせる「定着」にあります。
1. 母語で本音を吐き出し

2. AIが日本語へ変換して共有し

3. 管理者が迅速に対応し

4. データが学習素材として還流する

―この循環が回れば、企業は離職・失踪リスクを抑え、働き手は「居心地の良い日本」を実感できます。余氏はこう締めくくります。
「KABETORIは翻訳アプリではなく、多文化チームを"育成する"コミュニケーションプラットフォームです。母語も日本語も活きる場を設計し、そこから現場の課題を拾い上げる――それが私たちが描く次世代の定着支援モデルなのです。」


翻訳はゴールではありません。AIと日本語教育の融合で、現場の"声"を課題に変え、未来の働き方を変えていく――KABETORIが示す挑戦は、今まさに動き始めています。

画像3: https://www.atpress.ne.jp/releases/489271/LL_img_489271_3.png
開発者ー余氏

【会社概要】
商号 : 株式会社アップカル
代表者 : 杉山 満軌
所在地 : 〒914-0264 福井県敦賀市杉津4-7-1
設立 : 2023年12月
事業内容: (1)外国人人材採用・定着・生産性向上のサポート
(2)上記統合システム・アプリケーションの開発及び提供
URL : https://upcul.co.jp/


詳細はこちら
プレスリリース提供元:@Press
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

短期需要対応のFRBバランスシート拡大は回避すべき

ビジネス

NY外為市場=ドル上昇、先週の急落から持ち直し 今

ワールド

米大統領、ロシア・ウクライナ首脳会談促す 「戦争終

ワールド

大韓航空、米ボーイング航空機約100機の発注を発表
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:健康長寿の筋トレ入門
特集:健康長寿の筋トレ入門
2025年9月 2日号(8/26発売)

「何歳から始めても遅すぎることはない」――長寿時代の今こそ筋力の大切さを見直す時

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット民が「塩素かぶれ」じゃないと見抜いたワケ
  • 2
    皮膚の内側に虫がいるの? 投稿された「奇妙な斑点」の正体...医師が回答した「人獣共通感染症」とは
  • 3
    飛行機内で隣の客が「最悪」のマナー違反、「体を密着させ...」 女性客が投稿した写真に批判殺到
  • 4
    「死ぬほど怖い」「気づかず飛び込んでたら...」家の…
  • 5
    なぜ筋トレは「自重トレーニング」一択なのか?...筋…
  • 6
    顔面が「異様な突起」に覆われたリス...「触手の生え…
  • 7
    アメリカの農地に「中国のソーラーパネルは要らない…
  • 8
    【写真特集】「世界最大の湖」カスピ海が縮んでいく…
  • 9
    「ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢」(東京会場) …
  • 10
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 1
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 2
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに感染、最悪の場合死亡も
  • 3
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人」だった...母親によるビフォーアフター画像にSNS驚愕
  • 4
    「死ぬほど怖い」「気づかず飛び込んでたら...」家の…
  • 5
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 6
    中国で「妊娠ロボット」発売か――妊娠期間も含め「自…
  • 7
    なぜ筋トレは「自重トレーニング」一択なのか?...筋…
  • 8
    皮膚の内側に虫がいるの? 投稿された「奇妙な斑点」…
  • 9
    20代で「統合失調症」と診断された女性...「自分は精…
  • 10
    飛行機内で隣の客が「最悪」のマナー違反、「体を密…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 7
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 8
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 9
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 10
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中