プレスリリース

迷走神経刺激カテーテル開発が日本ベンチャー学会会長賞を受賞

2022年11月25日(金)09時30分
国立研究開発法人国立循環器病研究センター(大阪府吹田市、理事長:大津 欣也、略称:国循)と株式会社ニューロシューティカルズ(東京都文京区、代表取締役社長:三池 信也)が共同で推進している迷走神経刺激カテーテル開発が、大学発ベンチャー表彰2022において、日本ベンチャー学会会長賞を受賞しました。九州大学発ベンチャー企業であるニューロシューティカルズ社が推進する迷走神経刺激カテーテル開発とビジネス戦略が評価され、国循の循環動態制御部、朔 啓太室長は支援機関研究者として表彰されました。

画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/336091/LL_img_336091_1.png
迷走神経刺激カテーテル開発が日本ベンチャー学会会長賞を受賞
画像2: https://www.atpress.ne.jp/releases/336091/LL_img_336091_2.png
受賞写真

■背景
「大学発ベンチャー表彰」は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)が2014年度に開始した制度です。大学や高等専門学校、国立研究開発法人などの研究開発成果を活用して起業したベンチャーのうち、今後の活躍が期待される優れた大学発ベンチャー企業や、特にその成長に寄与した大学や企業などが表彰されます。ニューロシューティカルズ社は、九州大学発ベンチャー企業であり、2020年以降は国循とともに、迷走神経刺激カテーテルの開発や基礎検証を進めています。今回の受賞においては、デバイス開発だけでなく、会社の収益面において受託等をバランス良く取り入れることで成長に必要な優れた収益・成長モデルを構築している点が評価されました。


■迷走神経刺激カテーテル
心不全は一度発症すると一部の進行ガンと同程度に予後不良な疾患です。日本を含む先進諸国では、心不全患者が急増する「心不全パンデミック」の到来が大きな社会・健康問題となっており、心不全急性増悪期における適切な対応が遠隔期の再入院や生命予後の改善をもたらすことが知られています。
心拍数は心臓の仕事量を決める最重要因子です。心筋梗塞や急性心不全、不整脈などさまざまな急性循環器疾患で脈が速い頻脈と呼ばれる状況は、心臓の仕事量を増やし病態をさらに悪化させることが知られています。心拍数を自在にコントロールできれば多くの治療につながりますが、薬剤では至適な脈に落ち着かせることができない場合が存在します。
迷走神経は脳から直接心房につながっており、心拍数を強力に調節することが知られています。つまり、迷走神経刺激を行うと脈の調節が可能になります。また、迷走神経刺激は心拍数低下以外にもさまざまな心血管保護効果を発揮することが知られています。国循、循環動態制御部の研究チームは、この治療技術を臨床応用するため、ニューロシューティカルズ社とともに、病態超急性期に迷走神経を安定かつ安全に刺激できるカテーテル(JOHAKU)の開発に成功しました。現在、実用化を目指して臨床試験の準備を進めています。
2016年度よりAMED 医療分野研究成果展開事業「心筋梗塞後心不全を防ぐ迷走神経刺激カテーテル装置開発」、2019年度よりAMED 医工連携イノベーション推進事業「徐拍化を介して心臓を保護する経静脈的迷走神経刺激カテーテルの開発・事業化」にご支援をいただき、2022年度よりAMED 医療機器開発推進事業に採択をいただきました。また、開発進捗や開発体制にも高い評価をいただき、同プロジェクトは2018年にAMED理事長賞も受賞しています。


■受賞に関する情報
JSTホームページ
https://www.jst.go.jp/tt/journal/journal_contents/2022/10/2210-07_article.html
NEDOホームページ
https://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_101566.html


■謝辞
本研究は、下記機関より資金的支援を受け実施されています。
日本医療研究開発機構(AMED)令和4年度 医療機器開発推進研究事業
「迷走神経刺激心筋保護カテーテル(JOHAKU)の世界初医師主導治験と実用化(研究代表:朔 啓太室長)」


【国立研究開発法人国立循環器病研究センター 概要】
国立循環器病研究センター(通称:国循)は、病院・研究所・オープンイノベーションセンターの3組織から成り立っており、国の医療政策と一体となって国民の健康を守るために1977年に設立された循環器病を対象とする国立高度専門医療研究センターです。
「最先端の、その先へ。」を目指して、日々循環器病に関する診断・治療、調査・研究および専門医療従事者の研修・育成を担っています。
研究所では、4部門18部が部門の垣根を超えて循環器疾患発症の原因を探るとともに診断・治療に貢献できる研究を行っています。各部では、高度医療実現のための研究を行っており、研究対象も遺伝子・分子から臓器に至るまで多種多様です。世界最先端の人材と機器を駆使し、循環器病の解明と診断・治療・予防法の開発に向け、病院と連携しながら世界でも類をみない研究を行っています。


【株式会社ニューロシューティカルズ 概要】
当社は医療分野におけるデバイスジェネレーターとして製品開発やアプリケーション開発、重要なコンポーネントの開発を主眼に価値の創造に注力しています。研究機関、大学の技術シーズ、臨床現場のニーズなどから、より効率的に診断や治療を行えるもの、そして患者さんのQOLを高めるものを中心にプロジェクト化し製品リリースをおこなっています。

設立 : 2009年4月
資本金 : 3億3,069万円
代表者 : 代表取締役社長 三池 信也
本社所在地: 〒113-0033 東京都文京区本郷1-28-10
事業内容 : 医療機器・器具の輸入及び販売・新技術の開発・ライセンス事業
URL : http://www.nci-md.com


詳細はこちら
プレスリリース提供元:@Press
今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米小売業者、感謝祭用にお得な食事セットを宣伝

ワールド

カナダ、はしか排除国認定を30年ぶり失う=汎米保健

ワールド

米国は「経済的大惨事」に、関税違憲判断なら トラン

ワールド

ロシア、戦争終結の取り組み「行き詰まり」 ウクライ
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一撃」は、キケの一言から生まれた
  • 2
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評家たちのレビューは「一方に傾いている」
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    コロンビアに出現した「謎の球体」はUFOか? 地球外…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    中年男性と若い女性が「スタバの限定カップ」を取り…
  • 7
    インスタントラーメンが脳に悪影響? 米研究が示す「…
  • 8
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 9
    レイ・ダリオが語る「米国経済の危険な構造」:生産…
  • 10
    「爆発の瞬間、炎の中に消えた」...UPS機墜落映像が…
  • 1
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 2
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 3
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 4
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 5
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 6
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 7
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 8
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 9
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統…
  • 10
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 8
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中