コラム

新世界オリンピックをつくろう

2020年03月13日(金)19時30分

そんな商業イベントはやめてしまえ。自粛などまどろっこしい。延期も同じだ。世界中の人々もこれでいかにオリンピックという商業イベントが汚れているかわかっただろうから、廃止する最大のチャンスだ。

オリンピック選手よ。結集せよ。そして、新しいオリンピック、新世界オリンピックをやろうじゃないか。

カネなどかける必要はない。従来行っている世界選手権をできる限り、時期と場所を同一にしてやろうじゃないか。それだけで十分だ。

スポンサーがつかない? それでいいじゃないか。もともとアマチュアスポーツの祭典。人生を競技だけにかける人々はプロとしてやればよい。オリンピックはアマチュア競技、スポンサーもなく、仕事のほかに打ち込むものとして、アマチュアとして競技をすればよい。それでこそ、本当のスポーツだ。

運動しない子は増えている

そうなるとスター選手が生まれない、子供たちが憧れる選手が生まれない、という人々もいるかもしれないが、スター選手など要らない。それよりも、運動しない子供たちが増えている。運動したくてもできない、場所がない、カネがない、知恵がない、スポーツという者を知る機会がない子供たちが世界中に溢れている。増えている。彼らに、健全な精神と健全な肉体を作るための機会を与える。それにこそカネを使うべきであり、それにはスター選手よりもオリンピックよりも、義務教育の中でのボランティア的な、しかし手当ももらえる指導者養成、確保のために使えばよい。

オリンピックは要らない。我々に必要なのは健全な精神を育てるスポーツだ。そのために役立つ新しいオリンピック、新世界オリンピックを作ろう。商業イベントのIOCのオリンピックなんか、この機会に廃止してしまえ。

プロフィール

小幡 績

1967年千葉県生まれ。
1992年東京大学経済学部首席卒業、大蔵省(現財務省)入省。1999大蔵省退職。2001年ハーバード大学で経済学博士(Ph.D.)を取得。帰国後、一橋経済研究所専任講師を経て、2003年より慶應大学大学院経営管理研究学科(慶應ビジネススクール)准教授。専門は行動ファイナンスとコーポレートガバナンス。新著に『アフターバブル: 近代資本主義は延命できるか』。他に『成長戦略のまやかし』『円高・デフレが日本経済を救う』など。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

韓国大統領、サムスンなど企業幹部と会談 トランプ氏

ビジネス

日経平均は3日ぶり反落 最高値更新後に利益確定 方

ビジネス

アングル:米中の関税停止延長、Xマス商戦の仕入れ間

ビジネス

訂正-午後3時のドルは147円後半でもみ合い、ボラ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:台湾有事 そのとき世界は、日本は
特集:台湾有事 そのとき世界は、日本は
2025年8月26日号(8/19発売)

中国の圧力とアメリカの「変心」に危機感。東アジア最大のリスクを考える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに感染、最悪の場合死亡も
  • 2
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 3
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コロラド州で報告相次ぐ...衝撃的な写真の正体
  • 4
    【クイズ】2028年に完成予定...「世界で最も高いビル…
  • 5
    AIはもう「限界」なのか?――巨額投資の8割が失敗する…
  • 6
    【クイズ】次のうち、「海軍の規模」で世界トップ5に…
  • 7
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 8
    アラスカ首脳会談は「国辱」、トランプはまたプーチ…
  • 9
    「これからはインドだ!」は本当か?日本企業が知っ…
  • 10
    広大な駐車場が一面、墓場に...ヨーロッパの山火事、…
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...「就学前後」に気を付けるべきポイント
  • 3
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに感染、最悪の場合死亡も
  • 4
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コ…
  • 5
    「笑い声が止まらん...」証明写真でエイリアン化して…
  • 6
    「長女の苦しみ」は大人になってからも...心理学者が…
  • 7
    【クイズ】次のうち、「海軍の規模」で世界トップ5に…
  • 8
    「何これ...」歯医者のX線写真で「鼻」に写り込んだ…
  • 9
    債務者救済かモラルハザードか 韓国50兆ウォン債務…
  • 10
    「ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢」(東京会場) …
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 7
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 8
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 9
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
  • 10
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story