最新記事
シリーズ日本再発見

【動画完結】日本通外国人が激論!『はじめてのおつかい』評、日本の治安、子育て、内向きな若者たち

WHY WE LOVE LIVING IN JAPAN

2022年10月12日(水)11時25分
ニューズウィーク日本版編集部
石野シャハラン、周来友、西村カリン、トニー・ラズロ

(左上から時計回りに)石野シャハラン、周来友、西村カリン、トニー・ラズロ NEWSWEEK JAPAN

<日本の暮らし、ここが好き! 日本観察のエキスパートたちが、外国と比べた日本の利点から課題までを語り合った>

イラン出身の異文化コミュニケーションアドバイザー、石野シャハラン。フランス出身のフリージャーナリスト、西村カリン。中国出身の経営者でジャーナリスト、周来友。『ダーリンは外国人』の主人公で、アメリカ出身のトニー・ラズロ。

東京在住で、ニューズウィーク日本版のリレーコラム「Tokyo Eye」の執筆者である4人に、この国の暮らしやすさについてオンライン座談会で語ってもらった。

◇ ◇ ◇

magSR20220920-nishimura220.jpg
――『はじめてのおつかい』という日本の番組がネットフリックスで全世界に配信されており、各国で話題になった。あの番組の人気がこの特集を企画するきっかけだったのだが、皆さんは見ましたか。

■西村 フランスに住んでいる妹から連絡があり「見ているか」と聞かれた。見てみたら、やはり面白い。妹が驚いていたのは、小さい子供が一人でスーパーに行き、親が頼んだ物を買って、一人で帰ってくること。フランスではあまり考えられない。

日本の田舎の風景や一般家庭の中、あるいはスーパーの品ぞろえとか、フランスになく、ほかでは見られないものがたくさん見られることも魅力の1つだと思う。後は、やはり子供のかわいさ。顔つきや態度、持っている物がフランス人の子供とは違うので、そこもとても面白い。

magSR20220920livinginjapan-2.jpg

『はじめてのおつかい(英語名はOld Enough!)』が配信され世界各国で話題になった 「はじめてのおつかい」NETFLIX, ISTOCK (FRAME)

magSR20220920-ishino220.jpg
■石野 私は日本テレビで放送していたときに、ほぼ全部見たと思う。ネットフリックスに出たときも6歳の娘と一緒に見たが、娘は本当に集中して見ていた。

イランでも、地域の人を大体全員知っているような下町だと「ナンを買ってきて」みたいな感じはあり得る。でもそれは誰の子供だとか、誰の弟だとか分かっているからできること。それ以外の場所ではちょっと考えられない。やっぱり『はじめてのおつかい』は日本の治安の良さを表していると思う。

そう思っていない日本人は意外といるんですよね。カメラが付いているとか、やらせだと思っている。でもカメラがあっても治安が悪い所では、こういうことはできない。

magSR20220920-laszlo220.jpg
■ラズロ 私は8歳から1人で新聞配達をして、集金もしていました。今のアメリカでは子供はもっと保護されていて、たぶん8歳では新聞配達はできない。でも私の子供時代には、自立心のある子には背中を押すようなことをしていたと思う。

magSR20220920-zhou220.jpg
■周 この番組がすごいのはガチンコで、やらせがあんまりないこと。日本じゃないとなかなか作れない、いいコンテンツだ。一度出演した子供が成長してどうなったかを追跡しているのもいい。3歳の時こうだったのが、その後こうなったというのを見るのもすごく楽しい。


<<4人の座談会は「ニューズウィーク日本版」YouTubeチャンネルでも公開中!>>

日本のサービスは「世界一と言っても過言ではない」

――日本の暮らしやすさを考える上で治安は大きな要素だが、それ以外に思い付くものは?

■周 やっぱりコスパがいいんですね、日本の生活は。人々にも思いやりがある。例えば車椅子の人が電車に乗るときは駅員が板を使って補助し、周りの人も文句を言わず見守る。今はどうか分からないけど、僕が中国にいたときは障害者が安心して出掛けられる環境ではなかった。

もう一点、多様性があって平等なところ。金持ちはそんなに見せびらかさず、お金のない人もあまり不満をぶちまけない。良く言えば調和した社会。悪く言えば、身の丈に合う暮らし方をして、ちょっとわきまえなきゃいけない雰囲気がある。それでどうしてもやっていけなければ、政府が面倒を見てくれる。

Tokyo Eyeのコラムに書いたけれど、やっぱり日本は一番成功した社会主義国家かなと思う。そういうふうに言うと、日本人の皆さんに怒られるんだけど。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=S&P・ナスダックほぼ変わらず、トラ

ワールド

トランプ氏、ニューズ・コープやWSJ記者らを提訴 

ビジネス

IMF、世界経済見通し下振れリスク優勢 貿易摩擦が

ビジネス

NY外為市場=ドル対ユーロで軟調、円は参院選が重し
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは「ゆったり系」がトレンドに
  • 3
    「想像を絶する」現場から救出された164匹のシュナウザーたち
  • 4
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が…
  • 5
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 6
    「二次制裁」措置により「ロシアと取引継続なら大打…
  • 7
    「どの面下げて...?」ディズニーランドで遊ぶバンス…
  • 8
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
  • 9
    「異常な出生率...」先進国なのになぜ? イスラエル…
  • 10
    アフリカ出身のフランス人歌手「アヤ・ナカムラ」が…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 3
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 4
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 5
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首…
  • 6
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 7
    アメリカで「地熱発電革命」が起きている...来年夏に…
  • 8
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 9
    ネグレクトされ再び施設へ戻された14歳のチワワ、最…
  • 10
    「二度とやるな!」イタリア旅行中の米女性の「パス…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 4
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測…
  • 5
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 6
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 9
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 10
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中