コラム

大評判作『ワン・バトル・アフター・アナザー』が感じさせるアメリカの「反復力」

2026年01月29日(木)15時29分

それは映画も同様だ。ジョン・フォードの西部劇に代表される勧善懲悪の時代があり、赤狩りの時代には「ハリウッド・テン」(投獄された10人の映画関係者)を追放して国家主義に擦り寄り、その後に一転して反体制・反権力を標榜するアメリカン・ニューシネマの時代になり、最近では赤狩り時代を批判する映画も量産されている。

本作は超娯楽作品でありながら、しっかりと現政権を批判する。反作用の力を常にはらませる。ディカプリオもペンもハリウッドでは反トランプの急先鋒だ。そのキャスティングでこの演出。完璧だ。反作用の弱い日本でこの映画を観ながら、僕はため息ばかりついている。


newsweekjp_20260127093357.pngワン・バトル・アフター・アナザー
(2025年)
©2025 WARNER BROS. ENT. ALL RIGHTS RESERVED.
監督/ポール・トーマス・アンダーソン
出演/レオナルド・ディカプリオ、ショーン・ペン

<本誌2026年2月3日号掲載>

プロフィール

森達也

映画監督、作家。明治大学特任教授。主な作品にオウム真理教信者のドキュメンタリー映画『A』や『FAKE』『i−新聞記者ドキュメント−』がある。著書も『A3』『死刑』など多数。

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