コラム

【徹底解説】DeepSeek革命のすべて

2025年02月15日(土)12時34分

数学や中国語の能力においてはDeepSeek-V3はかなりの大差で上回っているし、コーディングでも7種類の試験のうち2つではClaude-3.5に負けているものの、ほかの5つの試験の成績ではGPT-4oとClaude-3.5のいずれよりも優れている。

今後、DeepSeek、GPT、Claude、さらにメタのLlamaやアリババのQwenなども加わって、バージョンアップするたびに抜きつ抜かれつの競争が繰り広げられていくであろう。だが、こうした競争を指して「覇権争い」と呼ぶのはミスリーディングである。

「覇権(ヘゲモニー)」とは、ある国や勢力が政治力や軍事力などで他の国や勢力を圧倒する状況を指す。そこから転じて、特定の企業や技術が圧倒的なシェアを持つときに「覇権を握った」と表現することもある。但し、「覇権」が成り立つのは、その企業ないし技術を利用することが、他の企業や技術を利用することの妨げとなったり、他を利用する必要がなくなるときである。

企業や技術の間の競争を「覇権争い」と呼ぶのにふさわしい例としては、パソコンのOSを挙げることができる。過去30年ほどにわたってマイクロソフトのWindowsが圧倒的なシェアを占めてきた。パソコンにWindowsが入っていれば、他のOSを使う必要がないのでWindowsには排他性があり、Windowsは覇権を握っているといってよい。

プロフィール

丸川知雄

1964年生まれ。1987年東京大学経済学部経済学科卒業。2001年までアジア経済研究所で研究員。この間、1991~93年には中国社会学院工業経済研究所客員研究員として中国に駐在。2001年東京大学社会科学研究所助教授、2007年から教授。『現代中国経済』『チャイニーズ・ドリーム: 大衆資本主義が世界を変える』『現代中国の産業』など著書多数

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