コラム

防犯効果を高める「ホットスポット・パトロール」とは? 日本の「ランダム・パトロール」との違い

2025年02月07日(金)11時10分

ホットスポット・パトロールが対象にするホットスポットとは、「入りやすく見えにくい場所」である。こうした場所は犯罪者が利用するケースが多い。パトロール隊がこれらのホットスポットに滞在すれば、犯罪者にプレッシャーを与え、犯行を未然に防ぐことが可能である。

例えば、空き地や駐車場がフェンスやロープで囲まれていなければ「入りやすい場所」になり、周囲に家が少ないと「見えにくい場所」になる。そうした場所は自動車盗難や車上荒らしが起きやすいだけでなく、誘拐犯の物色、ストーカーの待ち伏せ、性犯罪者による児童連れ込み、空き巣犯の下見の準備(窃盗団の作戦本部)に使われる危険性がある。

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ロープが張られていない、入りやすい空き地(ホットスポット) 筆者撮影

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チェーンがかかっていない、入りやすい駐車場(ホットスポット) 筆者撮影

また、公園がフェンスで囲まれていなければ「入りやすい場所」になり、木々がうっそうと立ち並んでいると「見えにくい場所」になる。さらに、落書きやごみが放置されていると無関心がはびこり、管理が行き届いていない印象を犯罪者に与え、心理的にも「見えにくい場所」になる。そうした場所は子供の連れ去り、女性を狙った性犯罪、少年による恐喝、生徒間のいじめ・暴行、オヤジ狩りに使われる危険性がある。

プロフィール

小宮信夫

立正大学教授(犯罪学)/社会学博士。日本人として初めてケンブリッジ大学大学院犯罪学研究科を修了。国連アジア極東犯罪防止研修所、法務省法務総合研究所などを経て現職。「地域安全マップ」の考案者。警察庁の安全・安心まちづくり調査研究会座長、東京都の非行防止・被害防止教育委員会座長などを歴任。代表的著作は、『写真でわかる世界の防犯 ——遺跡・デザイン・まちづくり』(小学館、全国学校図書館協議会選定図書)。NHK「クローズアップ現代」、日本テレビ「世界一受けたい授業」などテレビへの出演、新聞の取材(これまでの記事は1700件以上)、全国各地での講演も多数。公式ホームページはこちら。YouTube チャンネルはこちら

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