コラム

もはや大卒に何の意味が? 借金して大学を出ても「商品を並べる仕事」しかない...英シティから警告の声

2025年11月04日(火)18時59分
イギリスの大学卒業生の平均給与

Jason Dodd/Shutterstock

<イングランドの学生が卒業時に抱える学生ローンは平均で1000万円を超えるが、多くの大卒者たちの初任給は最低賃金とほとんど変わらないという>

[ロンドン発]「棚に商品を並べる仕事で同じ給料がもらえるなら、若者は4万5000ポンドもの学生ローンを抱えてまで大学に行く必要があるのか」。英国際金融街シティの最高経営責任者(CEO)の1人が英紙フィナンシャル・タイムズ(11月2日付)にこう答えている。

英紙ガーディアンによると、イングランドの学生が卒業時に抱える学生ローンは前年比5000ポンド(10%)増の平均5万3000ポンド。地元学生は授業料が要らないスコットランドは1万7000ポンド、北アイルランド2万8000ポンド、ウェールズ3万9470ポンドだ。

4万5000ポンドは日本円にして910万円、5万3000ポンドは1072万円。これだけ自分に投資して大学卒業時点の初任給が全国生活賃金(最低賃金)と同じなら学生がキャリアパスとして大学進学を選ぶ経済的メリットがなくなるとシティの経営者たちは心配している。

大卒の初任給に追いつく生活賃金労働者の年収

英国の全国最低賃金は1999年に導入された。2016年に前保守党政権が全国最低賃金を全国生活賃金に拡充し、24年から21歳以上のすべての労働者に適用された。労働党政権は昨年の総選挙マニフェスト(政権公約)で18歳以上に範囲を拡大することを約束した。

プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

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