コラム

婚約者の口車に乗せられ「軍師」を切ったジョンソン英首相の支離滅裂 漂流するブレグジット

2020年11月17日(火)11時14分

英メディアの報道にはすべてスピンがかかっているので鵜呑みにするわけにはいかない。ツイッターやインスタグラムでジョンソン首相とのアツアツぶりを発信するシモンズ氏を2人が「全く中身のないお姫様」と中傷していたことがジョンソン首相を激怒させたとも言われている。

カミングズ氏は最初の都市封鎖で外出禁止令中にもかかわらず、発症が疑われる家族を車に乗せて長距離を移動するルール破りで国民の批判を浴びた。ケイン氏は2度目の都市封鎖を事前にメディアに漏らし、最後の夜を楽しもうと繰り出した若者で感染を拡大させたと批判されている。

カミングズ氏とケイン氏の一掃が良かったのか悪かったのか、それでジョンソン首相の政策がどう変わるのか、官邸首席補佐官の人事が決まらないことには何とも言えない。

しかし婚約者が政治に影響力を行使するのは、いかがなものか。婚約者の尻に敷かれるジョンソン首相に率いられるイギリスが糸の切れた凧のように流されないか心配だ。

プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

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