コラム

アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年ぶりの「MMF」復活が意味することとは?

2025年12月25日(木)16時57分

住宅ローンと政府支出への影響は?

だがゼロ金利の時代が長く続いた代償はあまりにも大きい。金利が存在すれば、投資家など資金を提供する側にとっては、安定的に利益を享受できる一方、資金を借りる側にとっては利払いの費用を負担しなければならない。もっとも分かりやすいのは住宅ローンと政府支出だろう。

日本の住宅ローンは低金利を背景に、拡大の一途をたどってきたが、現在では変動金利商品の割合が圧倒的に高くなっている。これはゼロ金利が半永久的に続くという楽観的な見通しがベースになっており、実はイレギュラーな商習慣にほかならない(以前は固定ローンの商品がほとんどだった)。

変動金利で住宅ローンを借りた場合、金利が上昇すれば支払額も増えるので、住宅保有者の負担が大きくなる。同じことは政府にも当てはまる。


近年、長期金利が上昇に転じたことから、政府の利払い費も急ピッチで増えている。2027年度には国債の利払いだけで何と15兆円もの支出になると予想される。

ちなみに消費税の税収は約25兆円、所得税は23兆円しかない。多くの国民は重税感に苦しんでいると思われるが、金利が少し上がっただけで、所得税や消費税に匹敵するレベルの支出があっという間に上乗せされてしまう。当該支払いを国債で賄えば円安が進行し、国民生活はさらに苦しくなってしまうだろう。

プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネス、ITなどの分野で執筆活動を行う。億単位の資産を運用する個人投資家でもある。
『お金持ちの教科書』 『大金持ちの教科書』(いずれもCCCメディアハウス)、『感じる経済学』(SBクリエイティブ)など著書多数。

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