「人への投資」をケチってきた日本の給料を、岸田政権「新しい資本主義」が上げる?
デジタル人材育成に言及
骨太の方針では、4000億円規模の予算を投じ、職業人のスキルアップを実施することで、デジタルなど成長分野への人材シフトを支援する方針が示された。併せて教育環境の整備も行い、社会全体で学び直し(リカレント教育)を推進していく。
デジタル田園都市国家構想でも、デジタル人材の育成について言及しており、職業訓練などを通じて、26年までに230万人を育成するという。
人材投資およびIT投資は、時間がかかるという欠点はあるものの、確実に生産性の向上と賃金上昇が期待できる。日本企業のIT投資は過去30年間横ばいが続いており(諸外国は3~4倍に拡大)、人材投資に至っては、諸外国の10分の1から20分の1と壊滅的状況である。逆に言えば、一連の施策を着実に実施するだけでも、かなりの効果が発揮されるだろう。
もっとも骨太の方針には、人材投資以外にもさまざまな項目が並んでおり、全てが各省の予算にひも付いている。人材投資をうまく成長に結び付けられるかは、政策にメリハリをつけ、相応の金額を当該分野に集中投資できるのかに懸かっている。岸田氏のモットーである「聞く力」が過度に発揮されてしまった場合、効果も分散してしまうかもしれない。

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