コラム

シャープやジャパンディスプレイと長時間労働のただならぬ関係

2017年08月29日(火)12時00分

tunart-iStock.

<なかなか抜け出せない長時間労働の原因はこんなところにあった! 設備投資の効果を検証すれば「働き方」の未来が見えてくる>

数千億円の国費を投入し、日の丸液晶メーカーとして鳴り物入りでスタートしたジャパンディスプレイ(JDI)が、3期連続の赤字決算となり大規模なリストラに追い込まれている。もともと同社の経営には無理があると市場では認識されており、今回の結果に対して大きな驚きはない。

だが、JDIの事業縮小やシャープの経営危機に代表される日本企業の経営不振は、実は日本の働き方改革に深刻な影響を与えている可能性がある。一見すると両者は何の関係もないように思えるが、経済全体の動きを考えるとそうともいえなくなってくる。JDIやシャープの経営問題は働き方改革にどのような影響を与えているのだろうか。

【参考記事】このままでは日本の長時間労働はなくならない

同じ製造業なのに、なぜドイツよりも稼げないのか?

働き方改革は、長時間残業を大前提とした日本の企業社会の仕組みを見直そうという試みである。日本において長時間残業がなくならいのは、日本の生産性が他国と比較して低いことが主な原因とされている。

だが、この話には「ニワトリ」と「タマゴ」的な要素が多分にある。生産性は生み出した付加価値を総労働時間で割って求められる。長時間労働が横行すれば、分母が大きくなって生産性が低下するのは当たり前のことであり、ここで話はグルグルと循環してしまう。この話は、日本の場合、業務にムダが多く、同じ生産を実現するのに多くの労働を必要としていると解釈すればよいだろう。

だが生産性を向上させるには、別のやり方もある。生み出す付加価値を大きくすれば、労働時間の多寡にかかわらず生産性を引き上げることが可能となる。実は生産性を向上させる要因としては、労働時間の削減よりも、付加価値増大による影響の方がはるかに大きい。つまり儲かるビジネスをしなければ、生産性は向上しないのだ。

【参考記事】日本の睡眠が危ない! 働き方改革はライフスタイルの見直しから
【参考記事】「残業100時間」攻防の茶番 労働生産性にまつわる誤解とは?

プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネスなどの分野で執筆活動を行うほか、テレビやラジオで解説者やコメンテーターを務める。『お金持ちの教科書』(CCCメディアハウス)、『スタグフレーション』(祥伝社新書)、『本気で考えよう! 自分、家族、そして日本の将来』 (幻冬舎新書)など著書多数。

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