コラム

ローソンの子会社化は、三菱商事の自己救済策だ

2016年09月20日(火)17時55分

 実は、一連の動きには前兆があった。ローソンは今年6月、玉塚元一社長が会長に昇格し、三菱商事出身の竹増貞信副社長が社長に就任する人事を発表している。玉塚氏は2014年に社長に就任したばかりなので、まだトップとしての成果を吟味する段階ではなかった。一方、竹増氏は2014年にローソンに来たばかりである。

 竹増氏は三菱商事の畜産部門や管理部門でキャリアを積んできた。畜産時代の上司は三菱商事現社長の垣内威彦氏であり、管理部門時代には、現会長の小林健氏に秘書として仕えていた。つまり、竹増氏は三菱商事の現経営陣に極めて近い人物であり、ローソンへの転籍や社長への昇格は、三菱商事経営陣の強い押しがあったことは間違いない。

 今回のローソン子会社化は三菱商事側から見ればメリットが大きいが、ローソン側にメリットがあるとは限らない。ローソンは店舗数でもセブンに負けているが、1日あたりの売上高でも大きく水をあけられている。セブンの店舗は1日で60万円以上を売り上げるが、ローソンは40万円台と低い。出店戦略の違いもあるが、やはり商品力に差があることは否めない。

 顧客にとって魅力的な商品を取り揃えるという観点からすると、仕入れ先が集中することは、場合によっては足かせとなる。ローソンが業界3位に転落した今、三菱商事とローソンは難しい舵取りを迫られることになるだろう。

プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネスなどの分野で執筆活動を行うほか、テレビやラジオで解説者やコメンテーターを務める。『お金持ちの教科書』(CCCメディアハウス)、『スタグフレーション』(祥伝社新書)、『本気で考えよう! 自分、家族、そして日本の将来』 (幻冬舎新書)など著書多数。

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