【銘柄】子会社が起訴された東京エレクトロン...それでも株価が下がらない理由と、1月に強い秘密
子会社の不正が発覚した東京エレクトロンだが、株価は大きく下がっていない BINGJHEN - stock.adobe.com
<台湾子会社の不祥事が明らかになった東京エレクトロン。株価は一時下落するも、すぐに回復。AI半導体ブームの主役に対する株式市場の期待は、どこから来るのか? さらに、1月相場で強さを見せる理由を解説>
ここ数年の株式市場を牽引してきた半導体関連銘柄。生成AIの大きなムーブメントで一段と大きく成長し、日経平均株価の最高値更新を後押ししました。その主役のひとつと言えるのが、半導体の量産に不可欠な製造装置を手がける東京エレクトロン<8035>です。
今月に入って台湾の子会社での不正が報じられ、株価は一時的に下落。ただ、罰金額は数億円規模とされ、同社の売上規模から見れば業績への影響は限定的、との見方が大勢です。

半導体製造装置でAIブームの中心に
東京エレクトロンは、半導体の微細な回路を形成する「前工程」に欠かせない、「成膜」「エッチング」「塗布・現像」「洗浄」などの装置を世界に提供する、日本を代表する企業です。なかでも、次世代チップの要であるEUV露光に不可欠な塗布・現像装置は、世界シェア100パーセントを誇ります。
生成AIの急速な普及により、サーバー向けチップやHBM(高帯域幅メモリ)の需要は拡大が続いています。AIモデルの高度化で前工程の難易度は急速に上昇しており、その中心にあるのが、東京エレクトロンの装置なのです。AIトレンドが続く限り、成長余地は大きいといえるでしょう。
■盤石の業績と強気の中期事業計画
業績も盤石です。昨期(2025年3月期)の売上高は2.43兆円、営業利益は6973億円で、営業利益率は28.7%でした。自己資本に対する純利益の割合を示すROEは30%を超え、世界の製造業の中でも屈指の収益力を誇ります。
今2026年3月期こそ一服感があるものの、AI半導体向けの設備投資は依然として旺盛で、第2四半期(中間決算)で通期予想を上方修正するなど底堅さを見せています。
さらに、2027年3月期を最終年度とする中期事業計画では、売上高3兆円以上、営業利益率35%以上、ROE30%以上、と高い目標を掲げています。設備投資や研究開発費を積極的に増やす姿勢は、投資家からも高く評価されているのです。





