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アングル:アジア各国、中東紛争による燃料不足でコロナ禍の対応再現も

2026年03月26日(木)12時12分

写真はシドニーを通過する石油タンカー。3月21日、オーストラリアのシドニーで撮影。REUTERS/Hollie Adams

[25日 ロイ‌ター] - 米国とイスラエルによるイランへの攻撃で引き起こされた‌世界的な燃料不足により、アジア各国は新型コロナウイルス禍をほうふつとさせる対応に​追われている。当時導入された在宅勤務の復活や、経済対策の是非についても検討されている。

アジアに輸入される原油のうち80%超が通過するホルムズ海峡は現在、イランに⁠よってほぼ完全に封鎖されてしまった。

こうした中で​国際エネルギー機関(IEA)が省エネルギー化のために在宅勤務を推奨していることに対し、韓国の金星煥・気候エネルギー環境相は24日に「良いアイデアだ」と評価した。

IEAは戦略備蓄から過去最多となる約4億バレルの石油を共同放出することで合意。他の対策として在宅勤務や、航空機利用の自粛といった原油価格の上昇圧力を緩和するための提案を示した。

IEAのビロル事務局長はオーストラリアのシドニーで今週開催された会議で「例えばロシアによるウクラ⁠イナ侵攻後、欧州諸国がこうした措置を採用し、欧州各国政府が発表するといった実例がある。ロシアのエネルギー供給が途絶えた困難な時期を乗り越え(中略)電力供給を維持するのにこれらの措置は大きな助けとなった」と振り返っ⁠た。

韓国は24日、国​民に対してシャワーの時間短縮や、日中の携帯電話の充電、掃除機の週末使用を呼びかけるキャンペーンに乗り出した。金・気候エネルギー環境相は記者会見で「関係省庁と協議し、在宅勤務の措置を積極的に検討する」と表明した。

エネルギー需要を中東産原油に大きく依存するフィリピンは、今月から一部の政府機関での週の勤務日数を短縮。マルコス大統領は中東紛争が同国のエネルギー供給に「差し迫った危機」をもたらすと警告し、国家エネルギー非常事態宣言を出した。

パキスタンは学校を2週間休校とし、オフィスワーカーに在宅勤務を増やすよう求めた。島国のスリランカは、燃料供給を持続させるために毎週⁠水曜日を祝日にすると宣言した。

アジアの金融拠点となっているシンガポールは、国民と企業に対して省エ‌ネルギー家電への切り替え、電気自動車(EV)の利用、エアコンの設定温度の引き上げを呼びかけた。

タイのアヌティン首相は各省に対して海外出張⁠の中止、エア⁠コンの設定温度を摂氏25度超にすること、スーツやネクタイの着用を控えること、エレベーターの代わりに階段を利用すること、在宅勤務の実施を指示した。

<生活費の負担軽減>

燃料費高騰が家計を圧迫する中で日本政府は24日、ガソリン平均価格を1リットル当たり170円程度に抑える補助金を賄うため、2025年度の予算から8000億円の予備費を支出すると発表した。この生活費負担を軽減する措置により、1カ月当たり最大で3000億円の費用がかかる見込みだ。

ニュージーランド(NZ)政府は24日、4月以降に低所得世帯に対して毎週50NZドル(約4659円)の時‌限的な経済支援を実施すると発表した。ウィリス財務相は「こうした世帯は、世界的な燃料価格高騰による打撃を特に強​く受けること‌になると認識している。われわれは彼らに対⁠してタイムリーな救済措置を講じる」と述べた。

隣国のオース​トラリアでは買い占めや供給不足によって数百カ所のガソリンスタンドで燃料が底をついており、特に遠隔地に深刻な影響が及んでいる。中道左派のアルバニージー政権は、燃料価格の不当な値上げに対する罰金額を倍増させる法案を議会に提出した。

アジアのいくつかの国々も燃料供給を増やすために国内備蓄からガソリンや軽油を放出するとともに、ガソリンと軽油の品質基準を一時的に緩和した。

<政策のジレンマ>

しかしながらコロナ禍との顕著な違いは、中央銀行が急いで利下げに動いていない点だ。それどころか、中‌銀は利上げを検討している。

コロナ禍では感染拡大を防ぐため、多くの国がロックダウン(都市封鎖)を実施。経済活動の停滞を受け、政策当局は大規模な景気刺激策で対応した。

対照的にオーストラリア準備銀行(中銀)は、今年に入ってから既に2回​利上げしている。同銀行は今月の理事会で政策金利を25ベーシスポイント(bp)引き上げ⁠て4.10%と約10カ月ぶりの高水準に設定した際、理由としてエネルギー価格の変動がインフレの重大なリスクになると説明した。

投資家の間では日本、英国、欧州が今後数カ月以内に利上げするとの見方が広がっており、アジア諸国の通貨が対ドルで下落する中でアジア経済への圧力はさらに深刻化する可能性がある。

キャピタ​ル・エコノミクスのチーフ・グローバル・エコノミスト、ジェニファー・マッキーン氏は先週発表したレポートで「原油価格が急騰すると、中銀は典型的な政策のジレンマに直面する。インフレ率は拡大するが、経済成長は鈍化する可能性がある」と指摘。その上で「何が適切な対応になるかは、原油価格が上昇している理由と、そのショックがどれほど持続するか、そしてインフレ期待が脅かされているかどうかに大きく依存する」と言及した。

ロイター
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