アングル:日中関係は悪化の一途、政府内に二つの打開シナリオ
写真は中国大使館の中国国旗。11月18日、東京で撮影。 REUTERS/Issei Kato
Tamiyuki Kihara
[東京 20日 ロイター] - 台湾を巡る高市早苗首相の発言を機に悪化の一途をたどる日中関係について、日本政府内で鎮静化に向けた二つのシナリオが浮上している。一つは双方が受け入れ可能な形で発言を事実上撤回する案、もう一つは冷却期間を置いて両国で落としどころを探る案だ。しかし、具体的な調整はこれからで、政府内には問題の長期化は避けられないとの声も少なくない。
<台湾有事の質問、事前に想定せず>
日本の政府関係者によると、問題となった7日の国会答弁は政府側が事前に準備していたものではなかったという。「従来の政府の答弁ラインは当然準備していた」(同関係者)が、台湾有事を巡る日本の対応については「質問通告がなかった」(同)。立憲民主党の岡田克也元外相が政府側に提出した質問要旨をロイターが確認したところ、「総理の外交基本姿勢」「存立危機事態」「在日米軍基地からの直接出撃」「川崎重工事件」の四つが箇条書きにされていたが、細かな質問内容は書かれていなかった。
質問に立った岡田氏は、集団的自衛権の行使要件である存立危機事態の認識について追及した。高市氏は当初、「発生した事態の個別具体的な状況に即してすべての情報を総合して判断しなければならない」など歴代政権の「答弁ライン」を維持していた。しかし、中国による台湾の海上封鎖が発生した場合という具体的な事態を問われると、「戦艦を使って武力の行使も伴うものであれば、これはどう考えても存立危機事態になり得るケースであると私は考える」と踏み込んだ。この時、高市氏が手元の原稿に目を落とすことはほぼなかった。
猛反発した中国は14日に日本への渡航自粛を国民に呼びかけ、続いて日本産海産物の輸入規制を再強化した。一方、日本側は薛剣駐大阪総領事が「汚い首は斬ってやる」とソーシャルメディアに投稿したことに抗議し、中国政府に適切な対応を求めている。
<「撤回するわけにはいかない」>
外交政策に携わる日本政府関係者によると、政府内で描かれている第1の打開シナリオは高市氏が早期に再び公の場で発言し、内容を上書きすることだ。事実上の撤回によって早期に軌道修正を図り、希土類(レアアース)の輸出規制など中国が次のカードを切ってくることを防ぐ狙いがある。
しかし、高市氏は「特に撤回や取り消しをするつもりはない」とすでに国会で明言している。政府内には「撤回すれば『台湾問題は存立危機事態になり得ない』と認めることになりリスクが大きい」との声も少なからずある。「言わない方が良かったとは思うが、政府としては撤回するわけにはいかない。あの内容が間違っていたということになってしまう」と前出とは別の政府関係者は言う。
そのため、上書きするにしても難しいバランスが求められる。日本国内に対しては撤回したと受け取られず、中国側にとっては日本が撤回したと国内に説明できるような発言を考える必要があるという。
第2のシナリオは、数カ月単位で冷却期間を設け、中国側と着地点を探るというものだ。時間をかけて双方の感情的な対立を沈静化させ、水面下での外交交渉を通じて関係改善の糸口を見出す狙いがある。だが、どのような着地点となるかがまったく見通せないことに加え、その間、中国側の対抗措置が続くことで日本経済に多大な影響を及ぼす恐れもあり、リスクは高い。
日本外務省は二つのシナリオについて「コメントできない」とする一方、「日中には既存のチャネルが複数ある。関係が阻害されないよう今後も意思疎通を図っていきたい」とした。
事態は日々動いており、いずれのシナリオも実現に向けた本格的な調整には入っていない。外交政策に携わる政府関係者は「関係悪化の長期化は避けられない状況だ」とした上で、「高市氏はすでに発言を事実上撤回するチャンスを逸した」と話す。「冷却期間を置くしかないが、中国側が更なる対抗措置をすれば日本はより厳しい立場になる」と語る。
(鬼原民幸 編集:久保信博)
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