ニュース速報
ワールド

ロシア軍、ドネツク州要衝ポクロフスクに迫る=ウクライナ軍当局

2025年10月30日(木)09時02分

10月29日、 ロシア軍が侵攻したウクライナの東部ドネツク州の要衝ポクロフスクに迫り、ウクライナ軍が侵攻を食い止めるのに苦戦していると軍当局者とオープンソース分析筋が明らかにした。写真は4月、ドネツク州の前線で攻撃を行うウクライナ兵(2025年 ロイター/Anatolii Stepanov)

Dan Peleschuk

[キーウ 29日 ロイター] - ロシア軍が侵攻したウクライナの東部ドネツク州の要衝ポクロフスクに迫り、ウクライナ軍が侵攻を食い止めるのに苦戦していると軍当局者とオープンソース分析筋が29日明らかにした。一方でウクライナ政府は、この侵攻がロシア軍に甚大な犠牲をもたらしていると主張している。

ウクライナ軍の第7軍団の声明によると、ロシア軍は約1万1000人の兵士を投入し、ポクロフスク地域を包囲しようとしている。さらにポクロフスク市内へ既に潜入した部隊は北や北西への進撃を目指していると説明した。

ウクライナのゼレンスキー大統領は29日夜の動画演説で、全長1250キロ(775マイル)の前線の中でポクロフスク周辺は「最も困難な」状態になっていると指摘。その上で「この数週間にこの地域は戦闘行動が最も激しく、ロシア軍の兵力が密集している」と語った。

一方、東部ハリコフ州クピャンスク周辺の状況は「依然として困難だが、わが国の軍の支配力はこの数日間に増している。陣地を守り続けている」と説明した。

ウクライナのオープンソース分析筋「ディープステート」は29日、ロシア軍が歩兵による待ち伏せ攻撃とドローン(無人機)の攻撃によって、ポクロフスクに隣接するミルノグラード市への軍事補給路を断ち切ったと発表した。ロシア軍のポクロフスクへの進軍を阻止するためには、ウクライナ軍は小規模部隊ではなく旅団規模の部隊を投入する必要があるとして、「ポクロフスクの状況は危機的状況の瀬戸際にあり、全てを修復するには手遅れとなるほど悪化の一途をたどっている」と警告した。その後、ロシア軍の小規模部隊がポクロフスクと近隣村落への進軍を試みていると報告し、悪天候を利用してウクライナ軍の防衛網の間隙を縫ったとした。

ロシアのプーチン大統領は29日、ポクロフスクとクピャンスクでウクライナ軍を包囲したと訴えた。

一方、ウクライナ軍はクピャンスクについてのロシア軍の主張を「空想だ」と否定。ポクロフスクも包囲されておらず、軍事補給路は維持されていると反論した。

ロイターは双方の戦況報告の正確性を独自には確認できなかった。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

中国万科、債権者が社債償還延期を拒否 デフォルトリ

ワールド

トランプ氏、経済政策が中間選挙勝利につながるか確信

ビジネス

雇用統計やCPIに注目、年末控えボラティリティー上

ワールド

米ブラウン大学で銃撃、2人死亡・9人負傷 容疑者逃
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の展望。本当にトンネルは抜けたのか?
  • 2
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジアの宝石」の終焉
  • 3
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 4
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 5
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 6
    極限の筋力をつくる2つの技術とは?...真の力は「前…
  • 7
    トランプが日中の「喧嘩」に口を挟まないもっともな…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    大成功の東京デフリンピックが、日本人をこう変えた
  • 10
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 3
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 6
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 7
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 8
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキ…
  • 9
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 10
    首や手足、胴を切断...ツタンカーメンのミイラ調査開…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中