自民総裁選きょう投開票、決選にもつれ込む公算 夕方までには結果

石破茂総裁(首相)の後任を決める自民党総裁選が4日、投開票日を迎えた。写真は9月23日、東京の自民党本部で撮影(2025年 代表撮影)
Yoshifumi Takemoto Tamiyuki Kihara
[東京 4日 ロイター] - 石破茂総裁(首相)の後任を決める自民党総裁選が4日、投開票日を迎えた。混戦模様で決選投票にもつれ込む公算が大きいが、誰が勝っても衆参ともに少数与党に陥った党の立て直しという責任を負う。今月中旬にも召集される臨時国会で首相に選出される見通しで、物価高や外国人政策などの国内問題に対処、米国のトランプ大統領とも渡り合わなくてはならない。
立候補しているのは小林鷹之元経済安保担当相、茂木敏充前幹事長、林芳正官房長官、高市早苗前経済安全保障担当相、小泉進次郎農林水産相の5人。国会議員票295票と同数の党員・党友票の計590票を争う。報道各社の調査によると、小泉氏と高市氏が競り、林氏が追い上げる構図。党員・党友票では高市氏と小泉氏が優勢で、国会議員票では小泉氏と林氏が先行し高市氏が追う。
投票は午後1時に自民党本部で始まる予定。党員・党友はすでに郵送で投票を済ませており、議員票とともに開票結果が発表される。決選投票にもつれ込んだ場合、議員票295票と各都道府県票47票の計342票で争う。国会議員は1人1票、都道府県票は決選投票に進出した2人のうち各都道府県で党員・党友票を多く獲得した候補に1票が加算される。夕方までには新総裁が決定するとみられる。
社会政治学が専門の上智大学のティナ・バレット教授は、次期総裁として有力視される小泉氏と高市氏について、「改革に対してアプローチが異なる」と話す。小泉氏は党派を超えて合意を築く穏健派とみられているとする一方、高市氏は「地味な政治家ばかりの世界」で目立つ存在だと指摘する。
5人いずれも物価高対策を最優先に掲げるが、高市氏が財源として国債増発も辞さない構えなのに対し、他の候補は財政規律に配慮をみせる。そのため金融市場では「高市氏が勝利すれば円安が進む。小泉氏と林氏では相対的に成長イメージのある小泉氏の方が株にポジティブ」(SBI証券の道家映二チーフ債券ストラテジスト)との見方がある。
一方、「どの候補も安全運転。高市氏は保守色を抑え、財政にも大盤振る舞いでなく慎重な印象だ。小泉氏は改革色を抑えている様子がある」(しんきんアセットマネジメント投信の藤原直樹シニアファンド・マネージャー)との声もある。
昨年9月の総裁選では1回目の投票結果が午後2時過ぎに発表され、石破氏と高市氏による決選投票は午後3時半前に決した。株式市場が開いている金曜日だったこともあり、高市氏の当選を見込んだ買いが石破氏の勝利で逆回転するなど混乱した。
複数の政府・与党関係者によると、新総裁は就任直後に党役員人事に着手する。自民、公明両党は衆参で少数与党に陥っているものの、野党側が首班指名で結束する気配はなく、14日にも召集される臨時国会で新首相に選出される可能性が高い。17日にも新首相としての所信表明を行う案が出ている。
*各候補の公約はをご覧ください。
(竹本能文、鬼原民幸 取材協力:平田紀之 編集:久保信博)