海洋生物多様性保全の国際協定、来年1月に発効へ=仏大統領

6月9日、フランスのマクロン大統領は、ニースで始まった第3回国連海洋会議で演説し、公海での海洋生物の多様性保護と持続可能な利用に関する国際協定がこれまでに十分な支持を得ており、2026年1月に発効できるとの見通しを示した。写真は、海洋会議が開催される港で巡回するフランス警察。同日、ニースで撮影 (2025年 ロイター/Christian Hartmann)
[ニース(フランス)9日 ロイター] - フランスのマクロン大統領は9日、ニースで始まった第3回国連海洋会議で演説し、公海での海洋生物の多様性保護と持続可能な利用に関する国際協定がこれまでに十分な支持を得ており、2026年1月に発効できるとの見通しを示した。
この協定は「国家管轄権外区域における海洋生物多様性協定」(BBNJ)で、60カ国が批准すると発効する。マクロン氏は、55カ国が協定を既に批准し、約15カ国が明確な期日の批准に向けて手続きを進めており、さらに15カ国が年内に批准を完了すると説明し、「この協定は来年1月1日に発効できることになり、公海を規制、管理する国際的な枠組みがようやく整うことになる」と強調した。
署名数を追跡しているサイトによると、欧州連合(EU)と6つの加盟国が加わった後の今年5月末時点の批准国は28カ国。協定は60カ国目が批准した120日後に発効する。発効すれば国の管轄権外での公海で、海洋生物の多様性を保護するための史上初の法的拘束力を持つ国際的な枠組みが整うことになる。
国連のグテレス事務総長は9日の開幕式で、漁船の違法操業とプラスチック汚染、海水温の上昇が生態系とそれらに依存する人々を脅かしているとして「海は究極の共有資源だ。しかし、私たちはそれを損なっている」と問題視し、世界の指導者たちに協定を批准するよう促した。
一方、協定の推進団体の関係者は、気候変動対策からの撤退を進めているトランプ大統領が率いる米国はBBNJを批准しておらず、会議中も批准しないとの見通しを示した。
23年に採択されたBBNJは、海洋の3分の2弱を占めており、ほとんど規制されていない公海に海洋公園を設置することを各国に認める。公海のうち、これまでに保護されているのはわずか1%だと推定されている。