ニュース速報
ワールド

海洋生物多様性保全の国際協定、来年1月に発効へ=仏大統領

2025年06月10日(火)10時20分

 6月9日、フランスのマクロン大統領は、ニースで始まった第3回国連海洋会議で演説し、公海での海洋生物の多様性保護と持続可能な利用に関する国際協定がこれまでに十分な支持を得ており、2026年1月に発効できるとの見通しを示した。写真は、海洋会議が開催される港で巡回するフランス警察。同日、ニースで撮影 (2025年 ロイター/Christian Hartmann)

[ニース(フランス)9日 ロイター] - フランスのマクロン大統領は9日、ニースで始まった第3回国連海洋会議で演説し、公海での海洋生物の多様性保護と持続可能な利用に関する国際協定がこれまでに十分な支持を得ており、2026年1月に発効できるとの見通しを示した。

この協定は「国家管轄権外区域における海洋生物多様性協定」(BBNJ)で、60カ国が批准すると発効する。マクロン氏は、55カ国が協定を既に批准し、約15カ国が明確な期日の批准に向けて手続きを進めており、さらに15カ国が年内に批准を完了すると説明し、「この協定は来年1月1日に発効できることになり、公海を規制、管理する国際的な枠組みがようやく整うことになる」と強調した。

署名数を追跡しているサイトによると、欧州連合(EU)と6つの加盟国が加わった後の今年5月末時点の批准国は28カ国。協定は60カ国目が批准した120日後に発効する。発効すれば国の管轄権外での公海で、海洋生物の多様性を保護するための史上初の法的拘束力を持つ国際的な枠組みが整うことになる。

国連のグテレス事務総長は9日の開幕式で、漁船の違法操業とプラスチック汚染、海水温の上昇が生態系とそれらに依存する人々を脅かしているとして「海は究極の共有資源だ。しかし、私たちはそれを損なっている」と問題視し、世界の指導者たちに協定を批准するよう促した。

一方、協定の推進団体の関係者は、気候変動対策からの撤退を進めているトランプ大統領が率いる米国はBBNJを批准しておらず、会議中も批准しないとの見通しを示した。

23年に採択されたBBNJは、海洋の3分の2弱を占めており、ほとんど規制されていない公海に海洋公園を設置することを各国に認める。公海のうち、これまでに保護されているのはわずか1%だと推定されている。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

オランダ政府、ネクスペリアへの管理措置を停止 対中

ワールド

ウクライナに大規模夜間攻撃、19人死亡・66人負傷

ワールド

ウクライナに大規模夜間攻撃、19人死亡・66人負傷

ワールド

中国、日本産水産物を事実上輸入停止か 高市首相発言
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影風景がSNSで話題に、「再現度が高すぎる」とファン興奮
  • 4
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 5
    マイケル・J・フォックスが新著で初めて語る、40年目…
  • 6
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 7
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 8
    「これは侮辱だ」ディズニー、生成AI使用の「衝撃宣…
  • 9
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 10
    悪化する日中関係 悪いのは高市首相か、それとも中国…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 5
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 6
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 7
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 8
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 9
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 10
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中