米厚生長官、妊婦と子どもへの新型コロナワクチン定期接種推奨を中止

5月27日、ケネディ米厚生長官は、妊婦と健康な子どもに対する新型コロナウイルスワクチンの定期接種の推奨を中止したとソーシャルメディア(SNS)に投稿した。写真は、「ワクチン」とラベル付けされた容器と注射器のイメージ。2021年12月、ボスニア・ヘルツェゴビナのゼニカ市で撮影(2025年 ロイター/Dado Ruvic)
[27日 ロイター] - ケネディ米厚生長官は27日、妊婦と健康な子どもに対する新型コロナウイルスワクチンの定期接種の推奨を中止したとソーシャルメディア(SNS)に投稿した。今回の措置は、疾病対策センター(CDC)がワクチン推奨について判断していた手続きから逸脱している。
ケネディ氏は長年のワクチン懐疑派として知られ、連邦政府機能の大幅縮小を目指したトランプ大統領の方針に沿って米国の保健システムを再構築しようとしている。
公開された動画でケネディ氏は「バイデン前政権は、子どもに対する新型コロナワクチンの追加接種(ブースター接種)の正当性をサポートする臨床データがないにもかかわらず、健康な子どもたちに新型コロナワクチンの接種を受けるよう促した」と主張した。
CDCは従来、予防接種実施諮問委員会(ACIP)が予防接種のスケジュール変更や接種対象者の推奨についての会議を開き、投票した上でCDC所長が最終決定していた。今回はACIPの投票は実施されていない。
CDCは専門家らの助言に従い、生後6カ月以上の全員に新型コロナワクチンを受けるように推奨していた。しかし、接種要件を先週厳格化し、対象者を高齢者や重症化するリスクのある人に限定すると発表した。
ACIPの助言役を務めるバンダービルト大医療センターのウィリアム・シャフナー教授(感染症)は「(厚生)長官が推奨しているということは、プロセスがひっくり返ったということだ」と指摘。シャフナー氏はACIPが6月に投票する予定だったとし、そこでは普遍的な新型コロナワクチンの推奨ではなく、対象をより絞った予防接種に賛成すると自身は予想していたと説明した。
ケネディ氏のCDCの手続きから逸脱した動きについては「やや前のめりのようだ」と評した。
米薬局チェーン・薬剤給付管理(PBM)大手、CVSヘルスの広報担当者は、連邦政府が新型コロナワクチンの接種資格を見直したのに伴い、健康保険の適用範囲に変更が必要かどうかを判断しているとコメントした。
全米各州の保険会社を代表するブルークロス・ブルーシールド協会の広報担当者は、新型コロナワクチンを含めた予防医療給付は患者の健康維持に不可欠であるだと訴えた。