コバルト市場、30年代初めに供給不足に転換へ

5月14日、コバルト協会は、コバルト市場が昨年の供給過剰から2030年代初めに供給不足に転じるとの見通しを示した。写真は昨年5月撮影(2025年 ロイター/Carlos Barria)
[ロンドン 14日 ロイター] - コバルト協会は14日、コバルト市場が昨年の供給過剰から2030年代初めに供給不足に転じるとの見通しを示した。
コバルトは電気自動車(EV)向けのリチウムイオン電池などに利用される。
短期的には、世界最大の産出国であるコンゴ民主共和国(DRC)の動向が市場を左右する見通し。同国は2月下旬、供給過剰に対応するため、コバルトの輸出を4カ月間禁止すると発表。これを受け、コバルト価格は2月末から60%上昇した。
同国の禁輸措置を巡る不透明感の影響を除くと、世界のコバルト供給は今後数年間でCAGR(年平均成長率)が5%になる見通し。
インドネシアが急ピッチで生産を拡大しており、ベンチマーク・ミネラル・インテリジェンスに委託した調査によると、30年にはDRCの市場シェアが昨年76%から65%に低下し、インドネシアのシェアが12%から22%に上昇する見通しだ。
一方、政府の備蓄を除いたコバルト需要は、主にEV市場の拡大により、CAGRが7%となり、30年代初めに40万トンに達する見通し。昨年の需要は22万2000トンだった。
30年にはEVがコバルト需要の57%を占める見通し。昨年は43%だった。携帯電話、ノートパソコン、超合金など工業部門のその他の用途は伸びが鈍化する見通しだ。
昨年のコバルト市場は3万6000トン(需要の15%)の供給過剰。23年は2万5000トンの供給過剰だった。