ノルウェー政府系ファンドの防衛株投資禁止、見直しの動きは足踏み

ノルウェーでは運用資産が1兆8000億ドルと世界最大の同国政府系ファンドを巡り、野党が大手防衛企業にも投資できるように倫理規定を見直すよう求めているが、こうした動きは壁にぶつかり進んでいないことが分かった。写真は、ロッキード・マーティン戦闘機。2024年6月、ベルリンで撮影(2025年 ロイター/Axel Schmidt)
[オスロ 7日 ロイター] - ノルウェーでは運用資産が1兆8000億ドルと世界最大の同国政府系ファンドを巡り、野党が大手防衛企業にも投資できるように倫理規定を見直すよう求めているが、こうした動きは壁にぶつかり進んでいないことが分かった。取り組みに関与している複数の議員が明らかにした。
ノルウェー政府系ファンドは議会が決めた倫理規定により、核兵器の部品を製造しているとの理由からエアバス、ボーイング、BAEシステムズ、ロッキード・マーチンといった防衛関連企業の株式を購入することが禁じられている。
保守党と進歩党の野党2党はこの数カ月、欧州諸国が軍備支出を加速している昨今、この規定を見直すべきだと議員に働きかけており、ノルウェー中銀総裁も2月に見直しを支持する姿勢を示した。
進歩党は独自に法案を提出。「一方でロッキード・マーチン製のF―35戦闘機を52機購入しながら、同社への株式投資を禁じるのは偽善的だ」と訴えている。
ただ、規定変更は困難に直面している。反対勢力の1つが財務省で、現在の財務相は北大西洋条約機構(NATO)前事務総長のストルテンベルグ氏だ。
レイタン財務副大臣はロイターの取材に「現時点で規定の全面的な再検討を行うのは時期尚早だ」と述べ、見直しはその場しのぎではなく、議会の幅広い合意の下で行われるべきだと訴えた。
実現の鍵を握るとみられる中央党も見直し案に反対の姿勢を示している。1月まで財務相を務めていた中央党のベードゥム党首は「ファンドについては冷静さを保つことが重要だ」と指摘し、極めて慎重に進めるのが賢明だとした。