原油先物急落、サウジが増産示唆 米WTI21年3月以来の安値

米国時間の原油先物は急落し、米WTI先物の清算値は2021年3月以来の低水準を付けた。2024年1月撮影(2025年 ロイター/Mohammed Aty)
Nicole Jao
[ニューヨーク 30日 ロイター] - 米国時間の原油先物は急落し、米WTI先物の清算値は2021年3月以来の低水準を付けた。世界的な貿易戦争で燃料需要の見通しが悪化する中、サウジアラビアが原油生産を巡る政策を転換し、増産や市場シェア拡大につながる可能性を示唆したと伝わったことが重しになった。
清算値は北海ブレント先物が1.13ドル(1.76%)安の1バレル=63.12ドル、米WTI先物が2.21ドル(3.66%)安の58.21ドル。
月間ベースでは北海ブレントが15%下落、米WTI先物が18%下落。21年11月以来の大幅な下落となる。
この日は複数の関係筋の話で、サウジアラビア当局者が、今後さらなる減産で原油市場を下支えする意向はなく、原油安が長期間続いても対応できると、同盟国や石油業界関係者に伝えていたことが分かった。
プライス・フューチャーズ・グループのシニアアナリスト、フィル・フリン氏は「増産競争に再び向かう可能性があるとの懸念が高まった」とし、「サウジは市場シェアを取り戻すというメッセージを送ろうとしているのか、様子を見る必要がある」と指摘。
レイモンド・ジェームズの投資戦略アナリスト、パーベル・モルチャノフ氏は「貿易戦争で原油需要が減少する中、石油輸出国機構(OPEC)の減産幅の縮小と相まって、供給過剰のリスクが高まっている」と述べた。