ニュース速報
ワールド

北朝鮮、ロシア派兵初めて認める 金氏「英雄」と称賛

2025年04月28日(月)14時20分

9月28日、 北朝鮮は金正恩朝鮮労働党総書記の命令でロシアに派兵し、ウクライナとの戦闘に参加していることを初めて認めた。写真は2月、平壌で軍の訓練を視察する金氏。KCNA提供(2025年 ロイター)

[ソウル 28日 ロイター] - 北朝鮮は28日、金正恩朝鮮労働党総書記の命令でロシアに派兵し、ウクライナとの戦闘に参加していることを初めて認めた。国営の朝鮮中央通信(KCNA)は、北朝鮮兵がウクライナに占領されたロシア領の解放に重要な貢献をしたと伝えた。

朝鮮労働党はロシア西部クルスク州を解放するための戦闘が勝利で終わったとして、北朝鮮とロシアの間の「確固たる軍事的友好関係の最高戦略レベル」を示したと表明した。

ロシア軍のゲラシモフ参謀総長は26日、越境攻撃を受けていたクルスク州をウクライナ軍から完全に奪還したと発表。一方、ウクライナはクルスク州が奪還されたとの主張を否定。同州とロシア西部ベルゴロド州で作戦を展開していると述べた。

労働党中央軍事委員会は、金氏が昨年、プーチン大統領と結んだ包括的戦略パートナーシップ条約に基づき、派兵を決定したと説明した

KCNAは、同委のコメントとして、金氏の命令の下、北朝鮮の兵は自国のために戦った場合と同じような勇猛果敢さで戦ったと伝えた。

KCNAによると、金氏は「正義のために戦った彼らはみな英雄であり、祖国の名誉の代表者だ」と述べた。

KCNAは「(北朝鮮は)ロシア連邦のような強大な国家と同盟を結んでいることを名誉と考えている」と伝えた。

米国務省は、北朝鮮がロシアのウクライナ戦争に直接関与していることを懸念しているとした上で、北朝鮮によるロシアへの派兵は終わらせるべきだとの姿勢を示した。韓国は、部隊派遣の確認は「犯罪行為の容認」であるとし、政権を支える目的で自国の若者を戦場に送るという「非人道的で不道徳な」決定を下した北朝鮮を非難した。

北朝鮮が半年以上の沈黙の後でロシア派兵を確認し、北朝鮮軍の犠牲を強調したのは、対等なパートナーシップを演出するためとアナリストは指摘する。韓国統一研究院のホン・ミン氏は「北朝鮮とロシアの首脳がより強い絆を誓うために、外交的なパフォーマンスを行う必要が出てきた」とし、今回の確認はロシアでの首脳会談の補強だと指摘した。

ウクライナ当局がこれまでに明らかにしているところによると、北朝鮮は3000人の増援部隊を含め、計1万4000人の兵士を派遣したと推定される。装甲車・ドローン(無人機)戦の経験が不足しているため、多くの犠牲者を出したが、すぐに適応した。

ロシアは26日、北朝鮮兵がクルスク州でロシア兵と共に戦っていることを初めて確認した。

ロシアも北朝鮮も、これまでは派兵を肯定も否定もしていなかった。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

日銀、政策金利を現状維持:識者はこうみる

ワールド

ウクライナ南部オデーサに無人機攻撃、2人死亡・15

ビジネス

見通し実現なら利上げ、不確実性高く2%実現の確度で

ワールド

米下院、カリフォルニア州の環境規制承認取り消し法案
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 5
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 6
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 7
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 8
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 9
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 10
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 7
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 8
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 9
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 10
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中