ニュース速報
ワールド

EU、鉄鋼の輸入制限厳格化へ 米関税受けた流入増阻止狙う

2025年03月20日(木)01時58分

欧州連合(EU)欧州委員会のセジュルネ副委員長(産業戦略担当)は19日、鉄鋼の貿易制限措置を厳格化し、現行のセーフガードの対象となる輸入割当量を4月から減らすことで、流入量を15%程度抑える方針だと明らかにした。同日撮影(2025年 ロイター/Yves Herman)

Julia Payne

[ブリュッセル 19日 ロイター] - 欧州連合(EU)欧州委員会のセジュルネ副委員長(産業戦略担当)は19日、鉄鋼の貿易制限措置を厳格化し、現行のセーフガードの対象となる輸入割当量を4月から減らすことで、流入量を15%程度抑える方針だと明らかにした。

欧州委は同日、新たな欧州鉄鋼・金属行動計画の一環として、一連の貿易関連措置を提案。トランプ米政権が鉄鋼、アルミニウムに25%の関税措置を発動したことを受け、安価な鉄鋼製品が欧州市場にあふれるのを防ぐのが狙い。

欧州委は、世界貿易機関(WTO)の規定上、2026年6月末に期限を迎える現行のセーフガードに代わる新たな措置を25年9月末までに策定する予定だ。今週ロイターが確認した計画草案によると、EUはアルミニウム生産者とも協議し、セーフガードのための迅速な調査を開始するかどうかを検討することが示されている。

セジュルネ氏はロイターに「WTOのルールが尊重されず、誰もが国家安全保障に言及している時に、EUだけが産業を崩壊させる大陸であってはならない」と強調した。業界からの要望を踏まえ、新たな措置ははるかに厳格なものになるとも述べた。ウクライナを巡る戦闘終結後を見据え、欧州が防衛力強化を目指す上で欠かせない鉄鋼製品を輸入には依存できないとの考えも示した。

セジュルネ氏は、米政権による25%の関税措置を背景に、カナダやインド、中国の鉄鋼メーカーから欧州市場への流入が増えると予想している。欧州の鉄鋼大手ティッセンクルップのトップも19日、米国は2024年に約2300万トンの鉄鋼を輸入しており、トランプ政権の関税強化を受けて代替地として欧州など他の市場に向かうとの見方を示した。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ブラジル前大統領を拘束、監視装置破損 「薬の影響」

ワールド

広州自動車ショー、中国人客は日中関係悪化を重要視せ

ワールド

韓国、米国の半導体関税巡り台湾と協力の余地=通商交

ワールド

カナダとインド、貿易交渉再開で合意 外交対立で中断
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナゾ仕様」...「ここじゃできない!」
  • 2
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 3
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネディの孫」の出馬にSNS熱狂、「顔以外も完璧」との声
  • 4
    「搭乗禁止にすべき」 後ろの席の乗客が行った「あり…
  • 5
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後…
  • 6
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 7
    【銘柄】いま注目のフィンテック企業、ソーファイ・…
  • 8
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 9
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 10
    【銘柄】元・東芝のキオクシアHD...生成AIで急上昇し…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 5
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 8
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 9
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 10
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 10
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中