ニュース速報
ワールド

中国、EU産ブランデーに反ダンピング措置 EV追加関税に対抗

2024年10月08日(火)20時09分

 10月8日、中国商務省は、欧州連合(EU)産のブランデーに対する暫定的な反ダンピング(不当廉売)措置を発表した。写真は、北京の釣魚台国賓館で2018年6月に開催された欧州連合(EU)と中国のハイレベル経済対話に先立ち、両国旗の前を歩く出席者。(2024年 ロイター/Jason Lee)

[北京/パリ 8日 ロイター] - 中国商務省は8日、欧州連合(EU)産のブランデーに対する暫定的な反ダンピング(不当廉売)措置を発表した。EUが中国製電気自動車(EV)の輸入関税上乗せを決めたことに対する対抗措置とみられる。

EU欧州委が中国製EVへの追加関税を提案したのを受け、中国はEUから輸入するブランデーや豚肉などの反ダンピング調査を発表した。ただ8月になってブランデーに対する暫定的な反ダンピング(不当廉売)措置の適用を見送ると表明していた。

中国商務省は8日、調査の結果、EU産ブランデーのダンピングが中国の同業界に「多大な損害」をもたらしているという暫定判断を下したと発表した。11日以降、EU産ブランデーを輸入する場合、輸入業者は輸入額の30.6─39.0%相当の保証金(デポジット)を中国税関に納める必要がある。

商務省は、EU産豚肉製品に対する反ダンピング・補助金調査が進行中で、調査終了後に「客観的かつ公正な」決定を下すとした。さらに、大型エンジン車の輸入関税引き上げを検討していると明らかにした。実施されればドイツの自動車メーカーが最も打撃を受ける。ドイツから中国への排気量2.5L以上の自動車の輸出は昨年、12億ドルだった。

<中国EV関税支持のフランスを狙い撃ち>

EUは今月4日、中国製EVの関税上乗せ案について採決を行った。10カ国が賛成し最大約35%の追加関税が発動されることになった。ただ欧州委は中国との交渉を継続する方針も示した。

EU産ブランデーへの措置は、中国製EV追加関税を支持していたフランスを狙い撃ちしたとみられる。

保証金率が高いのはフランスのブランデーで、ヘネシーが最高の39.0%、レミー・マルタンが38.1%。中国の調査に協力した企業の製品は34.8%。マーテルが最低の30.6%となった。

フランスのコニャック製造業者団体はロイターに、中国の発表は中国製EVへの関税上乗せへの対抗措置と指摘。何事も関税発動抜きで解決すべきとした。マクロン大統領は先週、中国製EV関税は公平な競争環境を確保するために必要とする一方、中国のEU産ブランデー調査は根拠がなく「純粋な報復」と指摘していた。

保証金の導入で輸入の初期コストが上がる。ジェフリーズのアナリストは小売価格が20%上がり、販売が20%減少する可能性があると指摘。中国市場へのエクスポージャーが最も大きいレミー・コアントローは6%の減収、ペルノリカールは1.6%程度の影響があると予想した。

午前のパリ株式市場ではペルノリカール、レミー・コアントロー、ヘネシーを傘下に持つLVMHが軒並み下げている。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

台湾巡る日本の発言は衝撃的、一線を越えた=中国外相

ワールド

中国、台湾への干渉・日本の軍国主義台頭を容認せず=

ワールド

EXCLUSIVE-米国、ベネズエラへの新たな作戦

ワールド

ウクライナ和平案、西側首脳が修正要求 トランプ氏は
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やってはいけない「3つの行動」とは?【国際研究チーム】
  • 2
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネディの孫」の出馬にSNS熱狂、「顔以外も完璧」との声
  • 3
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 4
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 5
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 6
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベー…
  • 7
    「裸同然」と批判も...レギンス注意でジム退館処分、…
  • 8
    Spotifyからも削除...「今年の一曲」と大絶賛の楽曲…
  • 9
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 10
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 5
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 8
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 9
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 10
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 10
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中