ニュース速報
ワールド

ガス価格変動のユーロ圏インフレへの影響増大=ECB報告書

2024年08月06日(火)01時25分

欧州中央銀行(ECB)は5日発表した調査報告で、天然ガス価格の変動がユーロ圏のインフレ率に与える影響が増大しているとの見解を示した。6月撮影(2024年 ロイター/Wolfgang Rattay)

[フランクフルト 5日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)は5日発表した調査報告で、天然ガス価格の変動がユーロ圏のインフレ率に与える影響が増大しているとの見解を示した。ただ、依然として原油価格の変動ほどではない。

天然ガス価格は、2022年のロシアによるウクライナ侵攻開始時に高騰。22年秋までにユーロ圏のインフレ率を2桁に押し上げ、ECBはこれまでで最も急な利上げサイクルを開始した。

報告では「石油価格のショックに比べ、ガス価格ショックの総合インフレ率への影響(パススルー)は約3分の1小さい」とし、「ガスは生産面での方が消費バスケット内でよりも重要なので、間接的な影響が支配的だ」と指摘した。

ガス価格が10%上がると、およそ0.1%ポイントのパススルーとなり、インフレへの影響は1年を超えると主張。「22年序盤から22年8月のピークまでのガス価格の高騰が200%近くなったことを踏まえると、これはインフレ率の約2%ポイントの上昇に相当する」と推定した。

その後ガス価格は低下し、エネルギー価格は今年の大半の期間でインフレへの下押し圧力となった。天然ガス価格は21年半ばの水準の比較的狭い範囲内で推移した。

想定外のガス価格のショックは、生産や発電にガスをより集中的に使用する傾向にある国ほど、インフレに大きな影響を与えるとも言及。「調査結果は、想定外のガス価格の変動が、フランスよりもドイツ、スペイン、イタリアのインフレにより大きな影響を与えることを示唆している」と指摘した。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

アングル:求人詐欺で戦場へ、ロシアの戦争に駆り出さ

ワールド

ロシアがキーウを大規模攻撃=ウクライナ当局

ワールド

ポーランドの2つの空港が一時閉鎖、ロシアのウクライ

ワールド

タイとカンボジアが停戦に合意=カンボジア国防省
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 6
    「衣装がしょぼすぎ...」ノーラン監督・最新作の予告…
  • 7
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 8
    【世界を変える「透視」技術】数学の天才が開発...癌…
  • 9
    中国、米艦攻撃ミサイル能力を強化 米本土と日本が…
  • 10
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 6
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 7
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 8
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中