ニュース速報
ワールド

イスラエルがラファで特別作戦、人質2人救出 空爆で74人死亡

2024年02月13日(火)04時12分

 イスラエルは12日、パレスチナ自治区ガザ最南部ラファで特別部隊による作戦を実施し、人質2人を救出した。現地の保健当局によると、37人が死亡、数十人が負傷した。写真は救出された2人を乗せたヘリコプター。テルアビブで撮影。イスラエル国防軍提供(2024年 ロイター)

Nidal al-Mughrabi Emily Rose

[ドーハ/エルサレム 12日 ロイター] - イスラエル軍は12日、パレスチナ自治区ガザ最南部ラファで特別部隊による作戦を実施し、人質2人を救出した。救出作戦と同時に空爆を実施。現地の保健当局によると、これまでに74人が死亡、数十人が負傷した。捜索活動により死者数は増える可能性がある。

救出された2人はアルゼンチンとの二重国籍の60歳と70歳の男性2人。アルゼンチン政府はイスラエル政府に謝意を表明した。

イスラエル軍によると、国防軍(IDF)、国内治安機関シンベット、特別警察部隊が共同作戦を実施した。住民によると、攻撃にはイスラエルの航空機、戦車、船舶が参加。1時間以上におよぶ攻撃で2つのモスクと複数の家屋が損傷した。

ガザのある男性は「先月ラファに来てから最悪の夜だった。ミサイルや砲弾が自分たちのテントの200メートル先に落ちた。死というものがとても近い」と語った。

イスラエルのネタニヤフ首相は「完全勝利まで軍事的圧力を継続することによってのみ、人質全員の解放がもたらされる」とし、ラファへの地上攻撃に対する国際的な警告を一蹴した。イスラエル政府のレヴィ報道官も「欧州における過激主義とテロリズムのさらなるまん延」を防ぐために戦っているとし、同盟国がこれを支持することを期待していると述べた。

イスラム組織ハマスは今回のイスラエルによる空爆で、負傷していた人質3人が死亡したと発表。他の負傷している人質の安否は不明とした。

西側諸国の大半はイスラエル軍の攻撃に警告を発する一方、イスラエルへの支援を続けている。

ただ、オランダの控訴裁判所は12日、F35戦闘機の部品のイスラエルへの輸出を7日以内に停止するようオランダ政府に命じた。

英国はイスラエルに対し、避難民が押し寄せているラファを攻撃するのではなく、人質解放に向けた停戦に合意するよう要請した。

バイデン米大統領は、イスラエルには信頼できる避難計画が必要と述べた。

米国務省のマシュー・ミラー報道官は12日、米国はイスラエルによる今回のラファへの空爆がラファに対する本格的な攻撃開始とは判断していないと指摘。イスラエルによって実行可能な信頼できる計画がなければ、米国はラファでの本格的な軍事作戦の実施を支持しないとしたほか、米国のイスラエルへの支援を削減することは、米国がこれまで行ってきたことよりも影響力のある措置になるとは考えていないとした。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

インドGDP、7─9月期は前年同期比8.2%増 予

ワールド

今年の台湾GDP、15年ぶりの高成長に AI需要急

ビジネス

伊第3四半期GDP改定値、0.1%増に上方修正 輸

ビジネス

独失業者数、11月は前月比1000人増 予想下回る
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 3
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 4
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体…
  • 5
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 6
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 7
    「攻めの一着すぎ?」 国歌パフォーマンスの「強めコ…
  • 8
    【クイズ】世界遺産が「最も多い国」はどこ?
  • 9
    がん患者の歯のX線画像に映った「真っ黒な空洞」...…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 1
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 2
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 3
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やってはいけない「3つの行動」とは?【国際研究チーム】
  • 4
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 5
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 6
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 7
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 8
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 9
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベー…
  • 10
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中