米のウクライナ向け長距離ロケット弾供与、来年にずれ込む見通し

11月30日、米国が射程距離を160キロ弱に修正した長距離ロケット弾「GLSDB」のウクライナ向け供与開始は、来年にずれ込みそうだ。写真はボーイングのロゴ。ブラジルのサン・ジョゼ・ドス・カンポスで10月撮影(2023年 ロイター/Gabriel Araujo)
Mike Stone
[ワシントン 30日 ロイター] - 米国が射程距離を160キロ弱に修正した長距離ロケット弾「GLSDB」のウクライナ向け供与開始は、来年にずれ込みそうだ。国防総省と事情に詳しい関係者が明らかにした。
昨年秋にボーイングから米政府に対し、GLSDBを買い上げてウクライナに供与してはどうかと提案があった際、今年春にも出荷できるというのが最も楽観的な見通しだった。だが今年2月、政治専門サイトのポリティコが出荷時期は今年終盤以降になると報じた。
こうした中で関係者は、ボーイングが米政府にGLSDBを引き渡す時期が12月下旬で、それから数カ月の試験を経てウクライナに供与されると最新の状況を説明した。
国防総省の報道官も、試験が成功したのを見届けた上で、来年初めに供与することを想定していると述べた。
GLSDBはボーイングとスウェーデンのサーブが共同で生産しており、GPS誘導式で電子妨害にもある程度対抗でき、全天候で使用可能。ロシアは今年3月、GLSDBを撃墜したと発表しているが、米政府高官などの話では、米国はまだウクライナに1発も供与していない。
ウクライナは、現在米国から供与されているやはり射程160キロ前後の地対地ミサイル「ATACMS」の弾数に限りがあるため、GLSDBで補完したい考え。現在保有するロケット弾と比較すると攻撃距離が2倍になり、ロシアの補給拠点を前線からさらに遠ざけることが可能となる。