ニュース速報

ワールド

米大統領、トルコにF16供与の意向 議会と協議へ

2023年07月12日(水)08時23分

 7月11日、サリバン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当・写真)は、バイデン大統領がF16戦闘機をトルコに譲渡する方向で議会と協議すると述べた。写真は7日、ワシントンで撮影(2023年 ロイター/Jonathan Ernst)

[ビリニュス 11日 ロイター] - サリバン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は11日、バイデン大統領がF16戦闘機をトルコに供与する方向で議会と協議すると述べた。

北大西洋条約機構(NATO)首脳会議に先立ち、リトアニアの首都ビリニュスで明らかにした。

トルコのエルドアン大統領は10日遅く、スウェーデンのNATO加盟に向けた批准手続きを進めることに同意した。

サリバン氏は「(バイデン大統領は)供与への支持を明言している」とし「条件は付けていない。移転を進める意向だ」と発言。時期について詳細を明らかにしなかった。

F16の売却を阻止してきた上院外交委員会のボブ・メネンデス委員長(民主党)は10日、この件についてバイデン政権と協議しており、今後1週間以内に決定する可能性があると述べた。

国務省のミラー報道官は、ブリンケン長官がここ数週間にトルコのフィダン外相やメネンデス氏を含む米議員らと協議したとし、「きょう大統領補佐官が述べた通り、われわれは(F16の)売却を進める。議会の主要メンバーによる承認が必要と理解している」と語った。

同省の資料によると、ブリンケン氏は5日と8日にフィダン氏と電話会談し、スウェーデンのNATO加盟について働きかけていた。また、10日にエルドアン氏が加盟支持を表明する数時間前にもフィダン氏と協議していた。

<スウェーデン巡る脅し>

一部の外交官やアナリストは、トルコがスウェーデンの加盟批准の見返りに米国にF16戦闘機を要求していたとの見方を示している。

欧州連合(EU)のシンクタンクである欧州外交評議会の防衛専門家、カミーユ・グランド氏は「トルコが空軍を近代化し新たなF16を調達できるよう、バイデン政権から強い働きかけがあったようだ」と指摘。

この働きかけに加え、トルコがテロリスト組織と見なすクルド労働者党(PKK)を巡るスウェーデンの取り組みが、同国の加盟について「エルドアン氏を説得する上で重要な役割を果たした可能性がある」と述べた。

ジェラール・アロー元駐米フランス大使は「スウェーデンを巡る脅し」が報われたとツイッターに投稿した。

ロシア政府関係者は、スウェーデンのNATO加盟はロシアの安全保障にマイナスの影響をもたらすとし、対抗措置が必要になるとの見解を示した。

ロイター
Copyright (C) 2023 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、次期FRB議長にウォーシュ氏かハセット

ビジネス

アングル:トランプ関税が生んだ新潮流、中国企業がベ

ワールド

アングル:米国などからトップ研究者誘致へ、カナダが

ビジネス

NY外為市場=ドル上昇、方向感欠く取引 来週の日銀
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 2
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 3
    受け入れ難い和平案、迫られる軍備拡張──ウクライナの選択肢は「一つ」
  • 4
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 5
    【揺らぐ中国、攻めの高市】柯隆氏「台湾騒動は高市…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「前を閉めてくれ...」F1観戦モデルの「超密着コーデ…
  • 8
    首や手足、胴を切断...ツタンカーメンのミイラ調査開…
  • 9
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 10
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキ…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 5
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 6
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 7
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 8
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 9
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 10
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中