ニュース速報

ワールド

情報BOX:米大統領選第1回TV討論会の見どころ

2020年09月29日(火)14時48分

米大統領選の第1回テレビ討論会が29日行われ、共和党候補のトランプ大統領と民主党候補のバイデン前副大統領が対決する。写真は28日、オハイオ州クリーブランドで、討論会の舞台を準備するスタッフ(2020年 ロイター/Brian Snyder)

[ワシントン 28日 ロイター] - 米大統領選の第1回テレビ討論会が29日行われ、共和党候補のトランプ大統領と民主党候補のバイデン前副大統領が対決する。11月3日の大統領選まで残り5週間となる中、討論会の注目度は高い。

討論会は29日夜、オハイオ州クリーブランドで90分間行われ、テレビで中継される。見どころを以下にまとめた。

(1)争点

米紙ニューヨーク・タイムズは27日、トランプ氏が過去15年のうち10年間も所得税を納めておらず、2016、17年の連邦税納付額はそれぞれ、わずか750ドルだったと報道。

トランプ氏はこの報道を「フェイクニュース」と批判し、多額の税金を支払ってきたと主張したが、バイデン陣営はトランプ氏への新たな攻撃材料を手にしたことになる。

バイデン氏は、労働者階級出身の自分の方が億万長者のトランプ氏よりも米国民の経済的苦境をよりよく理解できると強調しそうだ。

また、トランプ氏は討論会で、大統領選での不正や敗北した場合に選挙結果を受け入れるかどうかを巡る過去のさまざまな発言について質問を受けることになる。バイデン氏に平和的な権力移譲を約束するよう迫られた場合にトランプ氏がどう反応するか、注目だ。

トランプ氏が今月死去したルース・ギンズバーグ米最高裁判所判事の後任に保守派のエイミー・バレット連邦高裁判事を指名したことも争点の一つ。トランプ氏は指名を機に、新型コロナウイルス対応などの自らの実績から目をそらし、保守派の有権者層の支持を得ようとする一方、バイデン氏は医療保険制度改革法(オバマケア)の無効化や中絶権が制限される可能性を訴え、指名に反対している。

(2)バイデン氏の適格性

新型コロナ流行により、選挙集会の開催やメディア取材を限定し、公の場から何カ月も遠ざかっていたバイデン氏にとって、今回の討論会は大統領候補としての自らの適格性を改めてアピールする機会となる。

29日の討論会では、バイデン氏はトランプ氏やその政策の批判するだけではなく、質問に正確に答え、失言を避けながら、自らの大統領としての適格性を主張しなければならない。

世論調査では、バイデン氏はトランプ氏をリードしており、討論会でのパフォーマンスが素晴らしければ、リードをさらに広げる可能性がある一方、出来が悪ければトランプ氏に追い上げを許すことになりかねない。

(3)トランプ氏の責任

新型コロナ関連の憂慮すべき数字や暴動に直面すると、トランプ氏は民主党の当局者、活動家、科学者など、自分以外の誰かの責任を追及する。バイデン氏は討論会で、トランプ氏こそが責任者であると国民に理解させることを目指す。

有権者は、大統領は良いことの責任も悪いことの責任も取るべきと考えている。

米バンダービルト大学のジョン・ギア教授(政治学)は、FOXニュースの司会者クリス・ウォレス氏の鋭く厳しい質問にトランプ氏が答えに詰まるかどうかを討論会の注目点に挙げた。

(4)事実の歪曲

選挙戦で示されたように、トランプ氏はうそを並べ立てることができる。米経済はコロナ前には過去最高水準で推移していた、コロナウイルスはほぼ消えた、などの発言は事実に基づかない。

だが専門家は、討論会でバイデン氏がトランプ氏の発言をいちいち事実確認しようとすれば、バイデン氏にとって不利益となる可能性があり、バイデン氏は自分の主張に専念すべきと忠告する。

(5)バイデン氏の試練

バイデン氏にとっては、相手の性格を攻撃しがちなトランプ氏への対応が課題だ。バイデン氏は選挙戦でいら立ちを示す姿がたびたび見られた。

トランプ氏は27日のツイートで、バイデン氏が討論会で運動能力向上薬を使う可能性を示唆。早くも攻撃を仕掛けている。

トランプ陣営は討論会でバイデン氏がいら立ちや迷いを示す場面を探し、宣伝ビデオに使おうとするだろう。

先のギア教授は、バイデン氏はたとえトランプ氏から個人攻撃を受けても、まともに取り合わず、大統領にふさわしい毅然とした態度を取り続ける必要があると指摘した。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米国土安全保障省報道官が退任へ、強硬な移民対策への

ワールド

イラン外相、米との核協議で「指針となる原則」で大筋

ビジネス

米ワーナー、パラマウントに1週間の交渉期間 上積み

ビジネス

インフレ2%に向かえば年内「数回」の利下げ可能=シ
MAGAZINE
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
2026年2月24日号(2/17発売)

帰還兵の暴力、ドローンの攻撃、止まらないインフレ。国民は疲弊しプーチンの足元も揺らぐ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    オートミール中心の食事がメタボ解消の特効薬に
  • 2
    【銘柄】マイクロソフトの株価が暴落...「AI懸念」でソフトウェア株総崩れの中、投資マネーの新潮流は?
  • 3
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トランプには追い風
  • 4
    極超音速ミサイルが通常戦力化する世界では、グリー…
  • 5
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活…
  • 6
    アメリカが警告を発する「チクングニアウイルス」と…
  • 7
    「目のやり場に困る...」アカデミー会場を席巻したス…
  • 8
    完全に「ホクロ」かと...医師も見逃した「皮膚がん」…
  • 9
    なぜ「あと1レップ」が筋肉を壊すのか...「高速パワ…
  • 10
    川崎が「次世代都市モデルの世界的ベンチマーク」に─…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 3
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発される中国のスパイ、今度はギリシャで御用
  • 4
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 5
    【銘柄】マイクロソフトの株価が暴落...「AI懸念」で…
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活…
  • 8
    なぜ「あと1レップ」が筋肉を壊すのか...「高速パワ…
  • 9
    がんは何を食べて生き延びるのか?...「ブドウ糖」の…
  • 10
    「目のやり場に困る...」アカデミー会場を席巻したス…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 8
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中