ニュース速報

ワールド

インドのデリーで新型コロナ患者急増の恐れ、病床足りず

2020年06月10日(水)00時37分

インド・デリー政府のマニッシュ・シソディア副首相は9日、7月末までに域内の新型コロナウイルス感染者数が50万人を超える見通しで、病院の収容能力が足りないと表明した。ニューデリーで8日撮影(2019年 ロイター/ANUSHREE FADNAVIS)

[ニューデリー 9日 ロイター] - インド・デリー政府のマニッシュ・シソディア副首相は9日、7月末までに域内の新型コロナウイルス感染者数が50万人を超える見通しで、病院の収容能力が足りないと表明した。

デリーでは入院できない新型コロナ感染者が猛スピードで増えている。病院に受け入れてもらえず、入り口前で大切な人が亡くなったとの話も耳にする。

13億人の人口を抱えるインドは3月に大規模な都市封鎖(ロックダウン)を導入したが、経済活動を再開する中で感染者数は急増している。感染者数は26万6598人と、世界で5番目に多い。向こう数日間で英国を超える見込みだ。

感染のホットスポットの一つであるデリーの感染者数は約2万9000人。副首相は記者団に対し、7月末までに55万人に上ると話した。その時点で8万床の病床が必要となるが、現在の病床能力は9000床にすぎない。「感染者数が伸び続ければデリーにとって大きな問題だ」と話した。もう一つのホットスポットはムンバイだ。

医療機関はすでに正常に機能していない状態だ。デリーの大学生、Aniket Goyalさんの祖父は先週、6つの公営病院から受け入れを拒否された。政府の新型コロナアプリでは空きがあると表示されていたという。民間施設に出向いたところ、治療費が高過ぎて断念した。裁判所の仲介を求め、家族で嘆願書を提出。裁判所が翌週に審理の場を設けることとしたが、それまでに祖父は亡くなった。

デリー政府の新型コロナアプリには首都圏内に専用病床が8814床あると表示されており、半分以上が使用中となっている。9日時点で、96の病院のうち、20には病床の空きがない。アプリは使用可能な人工呼吸器の数も表示できる。使用中の機器は519台のうち260台にとどまっている。

Manish Tewari議員は「デリーの医療システムは崩壊している」と述べた。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

S&P、トルコの格付け「B+」に引き上げ 政策の連

ビジネス

ドットチャート改善必要、市場との対話に不十分=シカ

ビジネス

NY連銀総裁、2%物価目標「極めて重要」 サマーズ

ビジネス

パラマウント、スカイダンスとの協議打ち切り観測 独
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 2

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS攻撃「直撃の瞬間」映像をウクライナ側が公開

  • 3

    サプリ常用は要注意、健康的な睡眠を助ける「就寝前の適切な習慣」とは?

  • 4

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 5

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 6

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミ…

  • 7

    「TSMC創業者」モリス・チャンが、IBM工場の買収を視…

  • 8

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 9

    元ファーストレディの「知っている人」発言...メーガ…

  • 10

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる4択クイズ

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 6

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 7

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 8

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 9

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 10

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中