ニュース速報

ワールド

アングル:対中包囲網狙うG7サミット拡大、中国側の反応警戒する日本

2020年06月02日(火)13時47分

 6月2日、香港国家安全法の制定問題などで米中の対立が激しくなるなか、トランプ米大統領が6月の主要7カ国(G7)首脳会議(サミット)延期と、参加国拡充を表明した。写真は昨年8月フランスのビアリッツで開かれたG7サミット。代表撮影(2020年/ロイター)

竹本能文

[東京 2日 ロイター] - 香港国家安全法の制定問題などで米中の対立が激しくなるなか、トランプ米大統領が6月の主要7カ国(G7)首脳会議(サミット)延期と、参加国拡充を表明した。中国をめぐり協議したい意向とされるが、習近平国家主席の訪日を検討してきた日本政府は対応に苦慮しそうだ。同盟国である米国の意向は尊重せざるを得ないが、中国への強硬な姿勢に足並みを揃えれば、中国に進出している日本企業に影響があると懸念する声もある。

<対中包囲網、対抗措置に懸念>

トランプ大統領は5月30日、6月末の開催を目指していたG7サミットを9月以降に延期する方針を明らかにした。同時に、参加国を拡大し、オーストラリア、ロシア、韓国、インドを招待する考えも示した。

ホワイトハウス報道官によると、トランプ氏は中国について協議するつもりだという。

サミットの開催延期と参加国拡充について、日本は「公式な連絡がないためコメントができない」(政府筋)との立場だ。

ただ、トランプ大統領の動きについてある外務省関係者は「9月の国連総会前に、サミット開催で対中包囲網を形成し、大統領選につなげたいのだろう。対中国という立場で韓国、ロシアも米国陣営に入れようということではないか」と解説する。

一方、日本は新型コロナウイルスの感染拡大により今春の予定が延期された習近平国家主席の訪日を模索している。今回の一連の動きの中で、万が一米国が訪日中止を打診してきた場合には「従わざるを得ない」(与党関係者)との見方が出ている。

もともと安倍政権は「世界各国との全方位外交」(政府筋)を進めてきた。「日本企業は中国に多数投資しており、米国と過度に歩調を合わせて対中強硬措置に出れば、日本企業の資産没収など中国側が対抗策に出る懸念がある」(別の与党幹部)との指摘もある。

<深い憂慮、米政権の行方も注視>

菅義偉官房長官は1日午前の会見で、米国が批判している中国・全国人民代表大会(全人代、国会に相当)での「香港国家安全法」の制定方針決定について、深い憂慮の念を示し、「今回の中国の決定に対し、米国の反応も含めて国際社会からさまざまな意見がある」として、「関係国とも連携して対応していきたい」と述べている。

日本にとってさらに悩ましいのは米国の対中戦略の帰趨が変わる可能性があることだ。「(米国の)世論は対中強硬路線が多いが、産業界は中国重視の論調が多い。大統領選を見据えてトランプ大統領もポンぺオ国務長官も強硬・柔軟の双方を使い分けている」(経済官庁幹部)との見方もある。

ここにきて米国では白人警官による黒人暴行死事件に反発した暴動が多く発生。トランプ大統領の支持率にも影響する可能性があり、閣僚の1人からは「対中融和的なバイデン大統領誕生の可能性も否定できない」との声も聞かれ始めた。

(編集:石田仁志)

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

焦点:「氷雪経済」の成功例追え、中国がサービス投資

ワールド

焦点:米中間選挙へ、民主党がキリスト教保守層にもア

ワールド

トランプ米大統領、代替関税率を10%から15%に引

ワールド

中国、米国産大豆追加購入の可能性低下も 関税違憲判
MAGAZINE
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
2026年2月24日号(2/17発売)

帰還兵の暴力、ドローンの攻撃、止まらないインフレ。国民は疲弊しプーチンの足元も揺らぐ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く高齢期の「4つの覚悟」
  • 2
    「#ジェームズ・ボンドを忘れろ」――MI6初の女性長官が掲げる「新しいスパイの戦い方」
  • 3
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体には濾過・吸収する力が備わっている
  • 4
    少女買春に加え、国家機密の横流しまで...アンドルー…
  • 5
    100万人が死傷、街には戦場帰りの元囚人兵...出口な…
  • 6
    カビが植物に感染するメカニズムに新発見、硬い表面…
  • 7
    ロシアに蔓延する「戦争疲れ」がプーチンの立場を揺…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    「窓の外を見てください」パイロットも思わず呼びか…
  • 10
    揺れるシベリア...戦費の穴埋めは国民に? ロシア中…
  • 1
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より日本の「100%就職率」を選ぶ若者たち
  • 2
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く高齢期の「4つの覚悟」
  • 3
    なぜ「あと1レップ」が筋肉を壊すのか...「高速パワートレーニング」が失速する理由
  • 4
    【銘柄】マイクロソフトの株価が暴落...「AI懸念」で…
  • 5
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活…
  • 6
    「#ジェームズ・ボンドを忘れろ」――MI6初の女性長官…
  • 7
    海外(特に日本)移住したい中国人が増えている理由.…
  • 8
    「目のやり場に困る...」アカデミー会場を席巻したス…
  • 9
    オートミール中心の食事がメタボ解消の特効薬に
  • 10
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 8
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中