ニュース速報

ワールド

北京、新型肺炎で2週間隔離義務付け WHO専門家は週末から調査

2020年02月15日(土)06時34分

中国・北京市当局は新型コロナウイルスの感染拡大防止に向け、旅行や帰省先から北京に戻る市民全員に14日間の隔離期間を義務付けると発表した。写真は13日、北京で撮影(2020年 ロイター/ China Daily via REUTERS)

[北京 14日 ロイター] - 中国・北京市当局は14日、新型コロナウイルス(COVID─19)の感染拡大防止に向け、旅行や帰省先から北京に戻る市民全員に14日間の隔離期間を義務付けると発表した。措置に従わなければ罰則を科すとしている。

北京日報によると、北京到着後、隔離は自宅もしくは地域の施設で行い、従わない者は「法的責任を負う」という。また、市民は北京に戻る前に旅程の提出が義務付けられる。

しかし、同措置が実際どのように実施に移されるかは現時点で不明。非居住者や中国国外から北京入りする外国人に同様の措置が取られるかについても明らかになっていない。

中国の王毅国務委員兼外相は、新型ウイルス感染拡大が中国にとって大きな試練だと認めた上で、政府の対応は適切だとし、海外の反応は過剰と言明。中国が新型ウイルス対策で最も厳格で断固とした措置を導入しているとし、「われわれの取り組みの下、感染拡大はおおむね抑制されている」と述べた。

中国保健当局は新型ウイルスによる肺炎について、13日時点で新たな感染者は5090人、新たな死者は120人超と発表。累計では感染者数が6万3851人、死者が1380人となった。

中国国営テレビによると、習近平国家主席は新型ウイルスの感染拡大を受けて明らかになったさまざまな問題点に中国共産党は対応する必要があると表明。医療保険制度のほか、主要な疾病の治療に関する制度を改善する意向を表明。バイオセキュリティーに関連する法律の早期策定を目指すことも明らかにした。

世界保健機関(WHO)のテドロス事務総長はこの日、WHOが主導する専門家チームが今週末に新型コロナウイルスの調査を開始すると発表した。

同チームはWHOが中国に派遣する専門家12人と中国側の専門家12人で構成される。

テドロス事務総長は「新型コロナウイルスへの対応および中国内外における準備活動で次に取るべきステップについて、迅速に情報提供することが合同ミッションの目的だ」とし、「とりわけ、ウイルス感染経路や病気の重症度、対応措置への影響に関する理解に軸足を置く」と述べた。

中国保健当局者によると、11日時点で医療従事者1716人が新型ウイルスに感染。同状況についてもWHOの調査が進められる見通し。

新型ウイルス感染拡大による幅広い経済的影響が広がる中、中国の第1・四半期成長率は大きく減速するとみらている。

中国最大の自動車業界団体である中国汽車工業協会(CAAM)は、新型ウイルスの影響で上半期の国内自動車販売が10%以上減少すると予想した。

国連の国際民間航空機関(ICAO)は、キャンセルの増加で、世界の航空会社の売上高が今年第1・四半期に40億ドル─50億ドル減少する可能性があると試算した。

世界のクルーズ船運航会社の損失は460億ドル相当となる見通し。

横浜港に停泊しているクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」では、これまでに218人の新型ウイルス感染が確認されている。この日は高齢者ら一部乗客の下船が認められた。

また、7月から開催が予定される東京五輪(オリンピック)について、WHO緊急事態プログラム責任者のマイク・ライアン氏は国際オリンピック委員会(IOC)などと定期的に連絡を取っているとしつつも、「IOCに対し何ら提言はしない。イベントの開催もしくは中止の要請はWHOの役割ではない」と述べた。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

NY外為市場=円が軟化、介入警戒続く

ビジネス

米国株式市場=横ばい、AI・貴金属関連が高い

ワールド

米航空会社、北東部の暴風雪警報で1000便超欠航

ワールド

ゼレンスキー氏は「私が承認するまで何もできない」=
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 6
    「衣装がしょぼすぎ...」ノーラン監督・最新作の予告…
  • 7
    中国、米艦攻撃ミサイル能力を強化 米本土と日本が…
  • 8
    【世界を変える「透視」技術】数学の天才が開発...癌…
  • 9
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 10
    赤ちゃんの「足の動き」に違和感を覚えた母親、動画…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 6
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 7
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 8
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 9
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中