ニュース速報

ワールド

米中間選挙、16年にトランプ氏が勝利した五大湖周辺州で民主党優勢

2018年10月23日(火)11時45分

 10月22日、11月の米中間選挙では、トランプ米大統領が2016年の大統領選で勝利した「ラストベルト(さびついた工業地帯)」と呼ばれる五大湖周辺地域で民主党が優勢となっている。写真はオハイオ州知事選の民主党候補リチャード・コードレイ氏。同州クリーブランドで2012年1月撮影(2018年 ロイター/Kevin Lamarque)

[トレド(米オハイオ州) 22日 ロイター] - 11月の米中間選挙では、トランプ米大統領が2016年の大統領選で勝利した「ラストベルト(さびついた工業地帯)」と呼ばれる五大湖周辺地域で民主党が優勢となっている。複数の世論調査で明らかになった。

オハイオ州知事選の民主党候補リチャード・コードレイ氏は先週、同州のトレドで選挙演説を行った。コードレイ氏は、リベラルな「進歩的大衆主義者(progressive populist)」だと指摘されることが多いが、労働者階級の人が多いトレドのダウンタウンで主に黒人の有権者を前に「オハイオ州をより良くする。国をより良くする」と訴え、2018年の中間選挙は2020年の大統領選につながると強調した。

今月公表されたサフォーク大学の世論調査では、コードレイ氏の支持率は共和党のマイク・デウィン氏を6ポイントリードしている。ただ、他の世論調査では五分五分との結果が出ている。

オハイオ州では、民主党のシェロッド・ブラウン上院議員がトランプ大統領が支持するジム・レナッチ下院議員から上院議員ポストを守ると予想されている。

五大湖周辺地域の他の州でも、民主党候補が共和党候補をリードしているか、もしくは、コードレイ氏のように、予想外に健闘している。

民主党がこの地域で優勢となっている理由は複雑だと党関係者やアナリストは指摘する。中間選挙でみられる歴史的な傾向や、著名な民主党候補に対して比較的弱い共和党候補が対戦していること、民主党有権者間の熱狂、ヘルスケアなどの問題を巡る懸念の高まり、トランプ氏に対する拒否反応などが背景にあるとみられる。

民主党ストラテジスト、ジョー・ゼペキ氏は「人々は、トランプ氏にうんざりしている」と指摘。「いつもトランプ氏のショーだ。これは共和党候補の助けにはなっていない」との見方を示した。

一方、共和党関係者は、トランプ氏の名前が投票用紙にないことが問題だと指摘する。有権者は、トランプ氏と同じ政党という理由だけでは、共和党に投票することはしないと説明した。

他の五大湖周辺の州ペンシルベニア州では、州知事選で民主党現職トム・ウルフ氏が共和党候補スコット・ワグナー氏をかなりリードしている。上院選は、ボブ・ケイシー・ジュニア上院議員(民主党)がルー・バーレッタ下院議員(共和党)と対戦するが、ケーシー氏が優勢とみられている。

ミシガン州は、民主党のデビー・スタベノウ上院議員が共和党候補、ジョン・ジェームズ氏をリード。州知事選も民主党のグレッチャン・ホウィットマー氏が共和党候補ビル・シュエット氏に対して優勢となっている。

ウィスコンシン州は、2016年大統領でトランプ氏の勝利により、1984年以降で初めて共和党が勝利したが、知事選は、現職のスコット・ウォーカー氏(共和党)が、トニー・エバーズ氏(民主党)と戦う。上院選は、リア・ビュクミア共和党候補が民主党のタミー・ボールドウィン上院議員に苦戦している。

マーケット大学の今月の世論調査では、エバーズ氏とウォーカー氏の支持率はきっ抗。ボールドウィン氏はビュクミア氏を10ポイントリードしている。

民主党幹部やストラテジストは、ヘルスケア、特にオバマ前政権が推進した医療保険制度改革(オバマケア)が選挙戦で争点になると考えている。コードレイ氏やエバーズ氏などは、選挙キャンペーンでメディケイド(低所得者向け医療保険)の拡充などを訴えている。

カイザー家族基金が先週公表した世論調査によると、ヘルスケアの問題は、女性有権者を中心に民主党や独立系支持者の間で最優先課題となっている。

ロイター
Copyright (C) 2018 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米PCE価格指数、3月前月比+0.3%・前年比+2

ワールド

米中外相会談、ロシア支援に米懸念表明 マイナス要因

ワールド

ベトナム国会議長、「違反行為」で辞任 国家主席解任

ビジネス

ANAHD、今期18%の営業減益予想 売上高は過去
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 3

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 4

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP…

  • 5

    未婚中高年男性の死亡率は、既婚男性の2.8倍も高い

  • 6

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 7

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 8

    アカデミー賞監督の「英語スピーチ格差」を考える

  • 9

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 10

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 7

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこ…

  • 8

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 9

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中