ニュース速報

ワールド

米・メキシコのNAFTA協議、自動車関税が新たな争点

2018年08月13日(月)08時07分

[ワシントン 10日 ロイター] - 北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉を巡る米国とメキシコの協議について、事情に詳しい自動車業界関係筋は10日、トランプ大統領が警告している自動車関税の影響で新たな争点が浮上していると明らかにした。

関係筋によると、米政権側は、トランプ大統領が安全保障を理由に通商拡大法232条に基づく25%の関税を発動した場合、新NAFTAによってメキシコの既存工場での生産分を関税の対象外とすることで基本的に合意しているという。

しかし、今後建設される新工場での生産分については関税の対象外とすることを拒んでいる。関税が適用されれば、メキシコの自動車業界への新規投資が抑制され、米国の利益につながるとみているという。

米国は自動車の原産地規則を巡り、域内調達比率の75%への引き上げに加え、40─45%の生産を高賃金の工場で行う案を5月に示しており、関係筋は、米国が移行期間をやや延ばすこと以外にはほとんど要求を変えていないことも明らかにした。

メキシコ側は、新たな原産地規則によって既存の工場や職が失われることがないよう保証を求めているほか、トランプ大統領が安全保障を理由に関税を発動した場合にメキシコを対象外とすることを要求しているという。

しかし、業界筋の1人によると、米政権は強硬姿勢を崩していない。

トランプ大統領は10日、ツイッターへの投稿で「メキシコとの取引はうまく進んでいる。自動車労働者や農家の問題に対処する必要があり、さもなければ合意は成立しない」とした上で、メキシコの次期大統領は「非常に紳士的」な対応をしているとの見方を示した。

カナダについては、NAFTA協議の再開を「待たなければならない。カナダの関税や貿易障壁は高過ぎる。合意に達しなければ関税を適用する!」と投稿した。

メキシコのグアハルド経済相は10日、ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表との協議を週明けに再開すると明らかにした。

その上で、カナダが協議に復帰するまでに、依然として米国との間で解決すべき2国間問題が多数あると言明。3カ国間の協議再開は数日中かもしれないし、数週間かかるかもしれないとの見方を示した。

ロイター
Copyright (C) 2018 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

仏大統領、ウクライナ問題で結束「不可欠」 米への不

ワールド

ロシアとインド、防衛関係を再構築へ 首脳会談受け共

ビジネス

ソフトバンクG傘下のアーム、韓国で半導体設計学校の

ワールド

中国主席、仏大統領に同行し成都訪問 異例の厚遇も成
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%しか生き残れなかった
  • 2
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させられる「イスラエルの良心」と「世界で最も倫理的な軍隊」への憂い
  • 3
    高市首相「台湾有事」発言の重大さを分かってほしい
  • 4
    【クイズ】17年連続でトップ...世界で1番「平和な国…
  • 5
    「ボタン閉めろ...」元モデルの「密着レギンス×前開…
  • 6
    左手にゴルフクラブを握ったまま、茂みに向かって...…
  • 7
    ロシアはすでに戦争準備段階――ポーランド軍トップが…
  • 8
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与…
  • 9
    「ロシアは欧州との戦いに備えている」――プーチン発…
  • 10
    主食は「放射能」...チェルノブイリ原発事故現場の立…
  • 1
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 2
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 3
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%しか生き残れなかった
  • 4
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 5
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 6
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 7
    【クイズ】世界遺産が「最も多い国」はどこ?
  • 8
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 9
    【クイズ】17年連続でトップ...世界で1番「平和な国…
  • 10
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 6
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 7
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 8
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中