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アングル:米中間選挙、選管当局が警戒するロシアの「介入」
2月19日、米国で今秋実施される中間選挙に向け、各州の選挙管理当局者が前週末、首都ワシントンに集結した。写真はワシントンで2013年10月撮影(2018年 ロイター/Jonathan Ernst)
[ワシントン 19日 ロイター] - 米国で今秋実施される中間選挙に向け、各州の選挙管理当局者が前週末、首都ワシントンに集結した。選挙における「招かざる客」となりそうなロシアに対処する戦略を巡る情報交換が目的だ。
いつもなら州選管当局者の会合は退屈な実務面の話題に終始するところだが、今年はロシアなどからのサイバー攻撃からどうやって選挙を守るかに話し合いの時間が費やされた。連邦政府は、選挙運営に自信を示そうとしながらも、いくつかの州に脅威をもっと深刻に受け止めるよう要請している。
米国土安全保障省高官でサイバーセキュリティーを担当するクリス・クレブス氏は、選挙監督に携わることが多い各州の州務長官を一室に集めて「この部屋にいる人はだれもが外国の敵対勢力、とりわけロシアからもたらされ、われわれが直面している状況は現実なのだと理解している」と語り、ロシアは「われわれに対してさまざまな手段を行使している」と付け加えた。
同省は昨年、21の州がロシアのハッカーからシステムへの侵入を試みられ、そのうちごく一部は実際に侵入されたと報告した。ただ当局者の話では、投票マシンに直接影響はなく、投票結果が操作されたという証拠もまだ見当たらない。
選挙の安全性を調べている団体によると、16年の大統領選以降、実質的に50州すべてがより安全な機器を購入したほか、紙による投票方式の拡充、サイバー攻撃への対応訓練の改善、連邦政府への支援要請といった取り組みを進めてきた。それでも今回の会合に出席した何人かの選管当局者は、切迫感が一段と増している状況だと打ち明けた。
背景には、直前にロシアの米大統領選介入問題を捜査しているモラー特別検察官が、選挙介入の疑いでロシア人13人とロシア企業3社を起訴したと発表したことがある。
起訴状を見ると、ロシアのプロパガンダ機関が長年かけて培った洗練された手口で、偽アカウントを使ってソーシャルメディアからトランプ陣営に有利となるような投稿を行っていたと記されている。
コネティカット州のメリル州務長官(民主党)は「最大の脅威は、選挙プロセス自体ではなく、こうした偽情報の流布だとわたしははっきりと耳にしている」と指摘した。
投票マシンの安全性については、国土安全保障省が主導して各州と改善対策に乗り出している。ところがネット上の政治宣伝に責任を持って向き合う連邦機関は存在しない。
数人の州務長官は、投票システム侵入だけでなく偽情報の流布に関しても連邦政府からもっと迅速な情報提供が必要だと訴える。ミシシッピ州のホースマン州務長官(共和党)は「当選者が決まって2年が経過してからようやくプロパガンダを発見する事態は御免こうむる」と話した。
一部からは、前週末に連邦政府の秘密情報部門から受けた説明もほとんど役に立たなかったとの不満も出ている。州側に説明の場で提供されたロシアのサイバー攻撃とその対応方法を巡る情報が不十分だったからだという。
(Dustin Volz記者)